保護貿易への意識、企業の56.9%が“自由貿易”支持

 米中における貿易摩擦の激化など、保護貿易主義の世界的な広がりが懸念される。帝国データバンクがこのほど発表した「保護貿易に対する企業の意識調査」結果(有効回答数9694社)によると、一般論として、「自由貿易」と「保護貿易」のどちらの政策が望ましいかを尋ねたところ、企業の56.9%が日本全体にとって「自由貿易が望ましい」と回答した。他方、国内産業保護を含めた「保護貿易」とする企業は9.9%と1割を下回った。

 一方、自社の属する業界について尋ねたところ、「自由貿易が望ましい」と回答した企業は43.0%で半数未満となった。また、「保護貿易が望ましい」は13.1%と1割を超えた。業界別では、自社業界において「自由貿易が望ましい」と考える企業は、『卸売』(49.9%)、『製造』(47.8%)、『小売』(44.1%)が高かった。他方、「保護貿易が望ましい」は『農・林・水産』(46.2%)が突出して高く、10業界で唯一、保護貿易が自由貿易を上回った。

 保護貿易主義による政策が世界的な広がりをみせた場合の自社の業績に及ぼす影響については、「マイナスの影響」があると回答した企業は28.7%。逆に「プラスの影響」がある企業は2.5%にとどまった。また、「どちらともいえない」は38.5%、「影響はない」は12.7%だった。業界別にみると、『農・林・水産』で「プラスの影響」(13.5%)が1割を超えたものの、すべての業界で「マイナスの影響」が「プラスの影響」を上回った。

 現在までに、保護貿易主義の高まりについて「対応策を実施している」企業は0.5%となり、「対応を検討中」(4.4%)と合わせても何らかの対応を進めている企業は4.9%にとどまった。また、保護貿易主義による政策が広がりをみせた場合、自社の業績に「マイナスの影響」があると回答した28.7%の企業においても、「対応している」企業は0.9%、「対応を検討中」(9.5%)と合わせても10.4%にとどまった。

 保護貿易主義の高まりについて対応策を実施している企業の具体的内容(複数回答)は、「情報収集・分析の強化」が57.0%で最多、次いで、「仕入先企業の見直し」(32.0%)、「販売計画の見直し」(28.8%)、「自社の商品やサービスの種類・内容の見直し」(26.9%)が続いた。規模別にみると、「同業他社との連携強化」、「異業種との連携強化」について、小規模企業ほど業種にこだわらず他社との連携強化に取り組んでいる様子がうかがえる。

 同調査結果は↓
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p180704.pdf