帝国データバンクが発表した「人手不足倒産の動向調査」結果によると、2018年上半期(1~6月)の「人手不足倒産」は70件発生し、負債総額は106億7700万円となった。件数は3年連続で前年同期を上回り、調査開始(2013年1月)以降、半期ベースで最多を更新した。前年同期比では42.9%増と、増加幅は3半期連続で4割を超え、年間合計で初めて100件を超えた2017年(106件)を上回るペースで推移している。
倒産件数全体(2018年上半期、4029件)が前年同期を下回る一方で、全体に占める割合は1.7%とわずかながらも、「人手不足倒産」の発生件数は増勢が続いている。負債総額は106億7700万円で、前年同期を51.2%下回った。また、調査開始以降、2018年上半期までの5年半で発生した「人手不足倒産」は累計417件、負債総額は919億7700万円にのぼった。
負債規模別件数をみると、2018年上半期は「1億円未満」が38件発生と、前年同期(19件)に比べ2倍に増加した。構成比は54.3%と過半を占め、前年同期を15.5ポイント上回った。「1~5億円未満」が28件(構成比40.0%)でこれに続いた。5年半累計でも「1億円未満」(205件、構成比49.2%)が最多と、小規模倒産が約半数を占め、「1~5億円未満」(171件、同41.0%)が続いた。
業種別件数をみると、2018年上半期は「サービス業」が前年同期比26.7%の増加で、最多の19件を占めた。「運輸・通信業」(12件)は半期ベースで初めて二ケタ件数の発生となるなど、6業種で前年同期を上回り、幅広い業種で倒産が増加した。5年半累計の最多は「建設業」(139件、構成比33.3%)で、「サービス業」が123件(同29.5%)でこれに続き、この2業種で全体の62.8%を占めた。
このように、2018年上半期の「人手不足倒産」は、調査開始以降、半期ベースで最多を更新し、2017年(106件)を上回るペースとなっている。今後も人手不足の深刻化により、小規模企業を中心に「人手不足倒産」はさらに増加する恐れがある。倒産企業のなかには、従業員の相次ぐ離職で事業遂行不能となり、倒産に追い込まれるケースが散見されており、小規模企業ほど従業員の定着率を高める必要性が高まっている。
同調査結果は↓
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p180702.pdf