納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する再調査の請求(2016年3月31日以前の処分は「異議申立て」)や国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度があるが、行政上の救済制度のうち、税務署への再調査請求を経ずに、第三者機関である国税不服審判所に直接審査請求するケースが増えている。
国税庁が先日発表した2017年度における審査請求の概要によると、2017年度における審査請求2953件のうち、税務署への再調査の請求(異議申立て)を経ずに直接、国税不服審判所に審査請求があった件数は全体の68.4%を占める2020件、前年度比37.1%増となった。今回の発表では審査請求全体の約7割が直接請求となり、国税不服審判所がより身近になったことがうかがえる結果となった。
審査請求は、税務署や国税局などが行った処分に不服がある場合に、その処分の取消しや変更を求めて、国税不服審判所に対して不服を申し立てる制度。かつては青色申告にかかる更正処分以外については、税務署への再調査の請求(異議申立て)を経なければ審査請求することができなかったが、不服申立制度の改正により、2016年4月1日以後は青色申告でなくても直接、国税不服審判所に審査請求できるようになっている。
なお、2017年度の審査請求の処理件数は、2475件で前年度と比べ26.3%の増加。処理件数のうち、納税者の主張が何らかの形で受け入れられた件数は202件(「一部認容」148件、「全部認容」54件)で、その割合は8.2%(「一部認容」6.0%、「全部認容」2.2%)であり、前年度と比べ4.1ポイントの減少となっている。また、審査請求は、原則1年以内に裁決するよう努めており、審査請求の1年以内の処理件数割合は99.2%となっている。
2017年度における審査請求の概要は↓
http://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2017/shinsa/index.htm