所有者不明土地問題など「2018年版土地白書」を公表

 国土交通省は、2018年版の土地白書が6月8日に閣議決定されたことを公表した。本年のトピックとしては、明治期からの土地に関わる政策の変遷や、所有者不明土地問題を取り巻く国民の土地に関する意識についての考察等を取り上げている。土地白書は、土地基本法に基づき、土地に関する動向及び政府が土地に関して講じた基本的な施策並びに土地に関して講じようとする基本的な施策について、毎年国会に報告しているもの。

 2018年地価公示によると、全国平均でみると、住宅地が10年ぶりに上昇に転じ、全用途平均及び商業地は3年連続上昇となった。全国の土地取引件数は近年増加にある。圏域別にみると、東京圏及び地方圏で微増。オフィス市場では、都心において空室率が低下するとともに、賃料が上昇。マンション市場では、首都圏において平方メートル単価及び平均価格ともに高水準で推移した。

 また、2017年度の土地取引等の動向をみると、宿泊業用建築物の着工床面積及び1棟当たりの床面積が7年連続増加と近年増加傾向にある。サービス付き高齢者向け住宅の登録状況は、2011年以降着実に増加。Jリートの投資対象として、近年は特に、物流施設やホテルが増加傾向。土地の資産性に対する国民の意識は「預貯金や株式などに比べて有利」とする割合が低下傾向にある(1998年37.0%→2017年30.2%)。

 所有者不明土地問題については、人口減少・高齢化の進展に伴う土地利用ニーズの低下等の影響で、所有者不明土地が全国的に増加。国民の土地に関する意識について調査した結果、空き地所有者のうち約5割が負担を感じたことがある(特に、相続により当該土地を取得した者が負担を感じる割合が高い)。空き地の所有に負担を感じる者のうち、約4分の1が土地の所有権を手放したいとし、うち半数は費用を支払ってでも手放したいと回答した。

 さらに、土地所有権の放棄について、約8割が放棄を認めてもよい、また土地所有者情報を国民の約3分の1が一般に開示されてもよいと回答。一般に開示されてはいけないと回答した者のうち、条件付きで行政機関、地域の自治会に開示してもよいと回答した者は、それぞれ6割弱、4割強となった。所有者不明土地の円滑な利用等に向けて、今後は、所有者不明土地の発生の抑制や解消に向けて、関係省庁が連携して検討していくとしている。

 「2018年版土地白書」の概要は↓
http://www.mlit.go.jp/common/001237686.pdf