17年度の下請法違反の指導件数は6752件で過去最多

 公正取引委員会が公表した2017年度の下請法の運用状況によると、新規に着手した下請法違反被疑事件は7271件(前年度比10.4%増)で、事件の端緒としては、公取委が親事業者及び下請事業者を対象に行った書面調査によるものが7173件(同10.7%増)、下請事業者等からの申告によるものが97件(同13.4%減)、中小企業庁長官からの措置請求が1件(前年度0件)だった。

 処理状況をみると、下請法違反被疑事件の処理件数は7068件で、このうち、6761件について、下請法第7条の規定に基づく勧告又は違反行為の改善を求める指導の措置を講じている。下請法に違反した親事業者の指導件数は6761件(うち勧告9件)で、このうち4727件(同9件)が製造委託等に係るもの、2034件が役務委託等に係るものだった。勧告・指導件数は昨年度に比べて448件増えて、8年連続で過去最多を更新した。

 指導より重く、事業者名を公表する勧告件数は9件で、全てが製造委託に係るものだった。勧告の対象となった違反行為類型の内訳は、全てが「下請代金の減額」だった。例えば、食品卸売業のK社は、下請代金を支払う際にK社に金銭を割り戻す「特別条件」や、積極的な拡販を図るためとして一定期間の下請代金を総額に応じて金銭を徴収する「年間リベート」などで、下請代金の額を減じていた。

 下請法違反事件に係る措置件数を業種別にみると、「製造業」の件数が最も多く(2906件、43.0%)、「卸売業、小売業」(1445件、21.3%)、「情報通信業」(593件、8.8%)がこれに続いている。製造業に対する措置件数(2906件)の内訳としては、「金属製品製造業」(423件、14.6%)が最も多く、「生産用機械器具製造業」(418件、14.4%)、「電気機械器具製造業」(245件、8.4%)、「繊維工業」(166件、5.7%)などとなっている

 2017年度において下請事業者が被った不利益については、親事業者308名から、下請事業者1万1025名に対し、下請代金の減額分の返還等、総額33億6716万円が支払われた。違反行為類型別にみると、「減額」によるものが16億7800万円(親事業者140名から下請事業者7659名に)、「受領拒否」が14億7624万円(同3名から162名に)、「支払遅延」が1億9675万円(同138名から3015名に)などの順だった。

 この件は↓
http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h30/may/180531.html