18年版「ものづくり白書」を5月29日に国会に報告

 厚生労働省は5月29日、政府が同日、2018年版「ものづくり白書」を閣議決定し、国会に報告したと発表した。「ものづくり白書」は、「ものづくり基盤技術振興基本法」第8条に基づき国会に毎年報告する年次報告書で、政府がものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策を取りまとめたもの。この白書は、経済産業省、厚労省、文部科学省が連携して作成しており、2001年の白書から今回で18回目となる。

 2部構成の「ものづくり白書」の第1部は、「第1章 我が国ものづくり産業が直面する課題と展望」、「第2章 ものづくり人材の確保と育成 」、「第3章 ものづくりの基盤を支える教育・研究開発」の3章立てとなっている。厚労省が担当する第2章では、労働生産性の向上に向けた人材育成の取組みと課題を分析し、ものづくり人材の育成に関する同省の施策について記述している。

 第2章第1節の労働生産性の向上に向けた人材育成の取組みと課題では、まず、人材育成の取組みの成果と労働生産性について、企業の意識調査では、ほとんどのものづくり企業が何らかの人材育成の取組みを行っている。一方、人材育成の取組の成果があがっている企業(「成果あり企業」)と成果があがっていない企業(「成果なし企業」)は、ほぼ二分化しており、半数の企業が人材育成の「成果があがっていない」とみている。

 また、人材育成の具体的な成果として、労働者個人の理解・知識の高まりや、作業スピードの向上といった「技術や技能の向上」だけでなく、社員同士の教え合いやチームワークの改善などの「組織力の向上」もみられる。「生産性が向上した」、「生産性が高い」とする企業においては、人材育成の成果が、社員一人ひとりや、組織全体としての生産性の向上により多くつながっているものとみている。

 次に、人材育成で成果があがっていると回答した企業の傾向として、ものづくり人材の特徴は「熟練技能者集団に近い」割合が高く、過去5年間の人材の定着率が「よくなった」の割合が高い。中長期的な視野を持ち計画的・段階的に人材育成を進めており、その方針が社内に浸透している割合が高い。自己啓発支援については、「受講料等の金銭的支援」、「資格等を取得した際の手当等の支給」の実施割合が高いと指摘している。

 2018年版「ものづくり白書」は↓
http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2018/honbun_pdf/index.html