会社が従業員に支給する社内報奨金の取扱いに注意!

 会社の業務への貢献度が高かった従業員に対して、報奨金を支給したいと考えるケースは少なくない。例えば、成績が優秀だった営業マンに対して支給するものや、社内提案制度を設け、業務上有益な発明や考案、創作をした社員に対し報奨金を支給するケースなどがある。こうした発明等に係る報奨金は、発明等の内容や支給形態によって所得区分も異なり、その区分に応じて消費税の課税仕入れの可否も異なる。

 例えば、社員の発明に係る報奨金の所得区分は、社員が職務上有益な発明等をして、その発明に係る特許や実用新案登録等を受ける権利を会社に譲り渡すことで一時に支払われるものは譲渡所得、その後特許権から生じる利益に応じて継続して支払いを受けるものは雑所得と規定。一方、会社としては、この種の報奨金であれば、「会計上の費用/税金計算上の損金」として認められるので、通常の費用と同じ取扱をすることができる。

 また、特許を受けるまでには至らない事務や作業の合理化、経費の節約などに役立つ工夫・考案などをした社員に支払われる報奨金については、その工夫などが、通常の職務の範囲内でのものであれば給与所得とされ、通常の職務としていない社員がたまたま工夫して受ける場合は、一時に支払われるときは一時所得、継続的に支払われるものは雑所得とされている。

 税法では、「一時所得とは、雑所得を除く他の所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で、労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう」とされ、法人からの贈与により取得する金品は一時所得に該当するとされている。消費税法では、贈与は資産の譲渡等の対価としての性質を有しないことから課税の対象外としている。

 したがって、一時所得とされる報奨金は、課税仕入れとはならないことになる。対して、社員等に対して交付する報償金のうち、(1)業務上有益な発明、考案又は創作をした使用人等からその発明、考案又は創作に係る特許を受ける権利、実用新案登録を受ける権利などを承継したことで支給するものや、(2)特許権、実用新案権又は意匠権を取得した使用人等にこれらの権利に係る実施権の対価として支給するもの、などは課税仕入れに該当する。