無申告者の1人平均申告漏れは2711万円と高額

 無申告は、申告納税制度の下で自発的に適正な納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすことになるため、的確かつ厳格な対応が求められる。無申告者は、その存在自体の把握が難しいことから、国税当局は、有効な資料情報の収集や活用を図り、積極的に調査を実施している。国税庁が今年6月までの1年間(2022事務年度)に実施した高額・悪質と見込まれた無申告者に対する実地調査は5229件(前事務年度3828件)行われた。

 実地調査(特別・一般)の結果、申告漏れ所得金額の総額は1418億円(前事務年度1119億円)把握。追徴税額は、総額で224億円(同190億円)、1件当たりでは429万円(同497万円)だった。2022事務年度は実地調査(特別・一般)全体が3万5751件行われているから、全体の約14%が無申告者に対する調査に充てられ、実地調査(同)全体の申告漏れ所得金額5204億円の約27%が無申告者に係るものだったことになる。

 1件当たりの申告漏れ所得金額は2711万円となり、前事務年度の2923万円から▲7.3%減少したが、実地調査(特別・一般)全体の1件当たり申告漏れ所得金額1456万円の約1.9倍と高額だ。1件当たりの追徴税額も所得税の実地調査(特別・一般)全体の274 万円の 約1.6 倍だった。こうした調査結果からいえることは、結構高額な所得がありながら、国税当局にはばれまいと高をくくって申告しない納税者がいかに多いかということだろう。  

 また、消費税の無申告者に対しては、2022事務年度において実地調査(特別・一般)7615件(前事務年度5257件)が行われた結果、追徴税額は198億円、1件当たりでは260万円となった。同事務年度の消費税に係る実地調査(同)全体は2万677件行われており、全体の約37%が無申告者に対する調査に充てられ、消費税の実地調査(同)全体の追徴税額322億円の約61%が無申告者に係るものだった。