「街のゲーセン」が姿を消している。帝国データバンクが発表した「ゲームセンターの倒産・休廃業解散動向調査」結果によると、アミューズメント施設「ゲームセンター」の倒産や休廃業などが、2023年度には計18件発生した。前年度(15件)に続いて2年連続で増加したほか、過去5年間で最多を更新した。ゲームセンターの店舗数は10年間で8000店近く減少し、直近5年間では3割減となるなど、淘汰の波が押し寄せている。
日本アミューズメント産業協会によれば、2021年度のオペレーション売上高は前年度比1割増の4492億円と、来店客数の大幅減に直面したコロナ禍の影響から脱しつつある。ただ、近年はクレーンゲームが主流となり、アーケード機を主流とする従来の店舗レイアウトでは集客力の維持が難しい局面を迎えている。また、消費税増税や硬貨の両替手数料、電気料金の引上げなど、運営コストの増加も無視できなくなってきた。
帝国データバンクの財務データを基にゲームセンター運営企業の収益力を分析したところ、本業の儲けを示す営業利益は、売上100円あたり平均で6円にとどまった。ゲーム筐体の価格に加え、クレーンゲームでは景品価格も上昇するなど経営環境は厳しく、収益力に乏しい中小規模のゲームセンターで淘汰が進んだ要因となっている。
足元では、老舗ゲームセンターの廃業増と対照的に、ショッピングモール内などに展開する大型チェーン店がファミリー需要を獲得し、出店規模を拡大させている。昭和・平成の若者文化を支えてきた、従来型の「街のゲーセン」運営に試練が訪れている。