経営課題、「現在」「3・5年後」全てで「人材の強化」

 日本能率協会が発表した「当面する企業経営課題に関する調査」結果(有効回答数528社)によると、自社が当面する経営課題を、「現在」、「3年後」は上位3つまで、「5年後」は1つだけ、20項目から選択してもらったところ、「現在」、「3年後」、「5年後」の全てで「人材の強化」が最も重視度の高い経営課題となった。「人材の強化」は、直近の課題であるだけでなく、長きにわたる課題になると捉えられている。

 「現在」における経営課題のトップ3は、第1位「人材の強化」(48.9%)、第2位「収益性向上」(44.9%)、第3位「売上・シェア拡大」(32.0%)。過去3年間の推移をみると、第3位までの項目に変わりはないものの、「人材の強化」が昨年から7.8ポイント増加したことで、昨年の第2位から第1位となった。ほかに、「働きがい・従業員満足度・エンゲージメントの向上」、「株主価値向上」は、3年連続で増加してきている。

 「3年後」の課題については、第1位が「人材の強化」(46.4%)、第2位が「収益性向上」(30.1%)、第3位が「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」(28.0%)となった。「人材の強化」は第2位と比べ15ポイント以上高く、圧倒的に多くの企業が課題と捉えていることが分かる。また、過去3年間の推移をみると、1年ごとに約5ポイントずつ増加しており、重要性が急激に高まっていることも見てとれる。

 ほかに、「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」(+2.7ポイント)、「技術力・研究開発力の強化」(+2.0ポイント)も昨年より割合が増加している。反対に、「デジタル技術の活用・戦略的投資」は、一昨年・昨年に続けて割合が減少し、順位を下げている。すでに多くの企業で取組みがなされていること、また技術の進化のスピードが速く企業側でも3年後の状況が認識できず、課題と捉える企業が減少したことが想像される。

 「5年後」の課題は、第1位「人材の強化」(15.3%)、第2位「事業基盤の強化・再編、事業ポートフォリオの再構築」(11.7%)、第3位「CSR、CSV、事業を通じた社会課題の解決」(8.3%)となった。昨年からの変化としては、「人材の強化」が4.6ポイント増加し最重視課題となったこと、また「ブランド力の向上」(+3.2ポイント)が増加したことが挙げられる。

 同調査結果は

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