3月の食品値上げ728品目、前年同月と比べ8割減

 帝国データバンクが発表した「食品主要195社の価格改定動向調査」結果によると、主要な食品メーカー195社における、家庭用を中心とした3月の飲食料品値上げは728品目、値上げ1回あたりの平均値上げ率は月平均約17%となった。前年同月の3503品目に比べると8割減となり、2千品目を超える値上げが常態化していた前年半ばまでの推移と比較しても大幅に少ない水準で推移した。

 この結果、2024年通年の値上げ品目数は6月までの累計で5911品目となり、年間の平均値上げ率は19%に達した。23年の値上げ予定品目で5千品目到達が判明したのは22年11月時点だったのに対し、24年分では同年2月と、前年より3ヵ月遅いペースだった。4月は加工食品を中心に6ヵ月ぶりに3千品目を超える大規模な値上げラッシュを迎える見通し。年初から続いた収束トレンドから、一転して値上げ機運再燃の兆しもみられる。

 多くの食品分野で、2023年中のコスト増加分に加え、人件費や物流費の増加、円安水準の長期化が24年前半の主な値上げ要因となった。24年に予定される値上げ品目のうち、「物流費」(56.8%)は23年同期から同水準、「円安」(31.8%)と「人件費」(23.0%)は23年同期を上回る水準だった。「原材料」(88.1%)の割合は低下したものの、トマトやオレンジなど野菜・果物や畜肉価格の高騰が響き、値上げが継続する食品もみられた。

 2024年3月の値上げは、レトルト食品や冷凍食品など「加工食品」(407 品目)が全食品分野で最も多かった。「菓子」(147品目)と合わせ、上位2分野で3月全体の7割超を占めた。なかでも「菓子」はチョコレート加工製品が中心で、原料となる砂糖価格の上昇に加え、天候不順で不作となったカカオ豆価格の急騰=「ビーンショック」も影響したとみられる。1~6月間累計では、24 年は「加工食品」(3295 品目)が最も多かった。

 2022~23年に比べ、小康状態を保ってきた「原材料高」に伴う値上げに再燃の兆しがみられる。24年1~6月間における「原材料高」由来の値上げは、品目数ベースで88.1%と、前年同期に比べて低下した。ただ、トマトやオレンジ、カカオ豆など局所的な価格高騰が続く原材料もあり、ケチャップやジュース、チョコレートなど関連する食品群では引き続き値上げ機運の高まりもみられる。

 今後、食品分野では多方面に及ぶコスト増加分を価格へ転嫁する、持続的な値上げへシフトするか注目される。消費者の購買力低下などを背景に多品目かつ大幅な値上げには慎重さもみられるものの、円安の影響による輸入コスト増といった原材料以外のコスト高騰分を積極的に販売価格へ転嫁する動きが浸透している。2024年の値上げは最大1.5万品目前後、月平均で1~2千品目前後の緩やかな値上げペースが続くと想定される。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240211.pdf