給与水準を引き上げた中小企業は2年連続で半数超え

 日本政策金融公庫が取引先企業を対象に2023年12月中旬に実施した「中小企業の雇用・賃金に関する調査」結果(有効回答数4861社)によると、昨年12月における正社員の過不足感は、「不足」と回答した企業割合が58.8%となった。2022年実績から0.2ポイント上昇した。「適正」は35.5%。業種別では、「運送業(除く水運)」(80.4%)や「宿泊・飲食サービス業」(78.8%)、「建設業」(72.5%)などで「不足」の割合が高い。

 他方、非正社員の過不足感は、「不足」と回答した企業割合が35.5%、「適正」が59.5%だった。「不足」は2022年実績から1.4ポイント低下。業種別にみると、「宿泊・飲食サービス業」(75.5%)、「運送業(除く水運)」(49.6%)、「小売業」(45.9%)などで「不足」の割合が高い。また、人手不足の影響では、「売上機会を逸失」(40.1%)、「残業代、外注費等のコストが増加し、利益が減少」(24.9%)などが挙げられた。

 2023年12月の正社員数の増減をみると、「増加」と回答した企業割合は25.3%、「変わらない」は50.0%、「減少」は24.7%だった。「増加」の割合は、2022年実績から1.7ポイント上昇した。業種別では、「情報通信業」(38.1%)や「宿泊・飲食サービス業」(31.9%)などで「増加」の割合が高い。また、非正社員では、「増加」が18.1%、「変わらない」が67.0%、「減少」が15.0%だった。

 2023年12月の正社員の給与水準をみると、「上昇」との回答が68.0%と、2022年実績(53.1%)から14.9ポイント上昇し、2年連続で半数を上回った。業種別にみると、「製造業」(73.4%)、「宿泊・飲食サービス業」(73.0%)、「小売業」(71.1%)などで「上昇」の割合が高い。2024年見通しは、「上昇」が61.8%。給与水準上昇の背景は、「物価の上昇」(25.2%)、「自社の業績が改善」(21.6%)、「最低賃金の動向」(19.7%)の順だった。

 2023年12月の正社員の所定内給与をみると、「上昇」と回答した企業割合は69.0%と、2022年実績(57.2%)から11.8ポイント上昇した。業種別にみると、「倉庫業」(78.6%)、「製造業」(76.5%)、「情報通信業」(74.5%)などで「上昇」の割合が高い。2023年の賞与の支給月数をみると、「増加」と回答した企業割合が35.9%となった。「変わらない」は45.1%、「減少」は12.9%。「増加」の割合は、2022年実績から4.6ポイント上昇している。

 同調査結果は

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/tokubetu_240228.pdf