不正薬物全体の押収量が過去2番目の2トンを超え

 財務省がこのほど公表した2023年の全国の税関における関税法違反事件の取締り状況によると、不正薬物全体の摘発件数は815件(前年比▲22%)と減少したが、押収量は約2406キログラム(同79%増)と増加した。不正薬物全体の押収量は過去2番目を記録し、極めて深刻な状況となっている。不正薬物とは、覚醒剤、大麻、あへん、麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)、向精神薬及び指定薬物をいう(錠剤型薬物を除く)。

 覚醒剤の摘発件数は、296件(前年比▲2%)とやや減少したが、押収量は約1978キログラム(同約3倍)と大きく増加した。押収した覚醒剤は、薬物乱用者の通常使用量で約6593万回分、末端価格にして約1226億円に相当する。密輸形態別の押収量では、海上貨物が約949キログラム(同約34倍)、航空機旅客が約406キログラム(同約3.8倍)となり、ともに前年より大幅に増加した。

 大麻(大麻草・大麻樹脂等)の摘発件数は132件(前年比▲4%)、押収量は約142キログラム(同▲70%)とともに減少。大麻草の押収量は約74キログラム(同▲77%)、大麻樹脂等(大麻樹脂のほか、大麻リキッド・大麻菓子等の大麻製品を含む)の押収量は約68キログラム(同▲57%)と共に減少した。仕出地別の摘発件数では、アメリカが32%、次いでタイが22%、ベトナム及びカナダが9%となり、アジア及び北米で約8割を占めた。

 麻薬(ヘロイン、コカイン、MDMA等)の摘発件数は前年比▲1%の234件、押収量は、重量は約276キログラム(前年比47%増)と増加し、錠剤型は約36千錠(同▲55%)と減少。コカインの摘発件数は67件(同約2.4倍)、押収量は約103キログラム(同約2.1倍)とともに増加。MDMA等の摘発件数は60件(同▲39%)と減少し、押収量は、重量は約109キログラム(同17%増)と増加し、錠剤型は約36千錠(同▲55%)と減少した。

 また、金地金(金塊に加えて一部加工された金製品も含む)密輸入事件の摘発件数は218件(前年比約24倍)、押収量は約268キログラム(同99%増)とともに大幅増加した。密輸形態別摘発実績では、摘発件数218件のうち、航空機旅客によるものが202件となり、全体の約9割を占めた。密輸仕出地別摘発実績では、アジアからの摘発件数が大宗を占め、ベトナムからの摘発が80件と最も多く、全体の約4割を占めた。

 一方、知的財産侵害物品等の違反事件では、商標権を侵害するブローチ等の密輸入事件等の知的財産侵害物品の密輸事件を9件告発。例えば、中国から到着した国際郵便物で商標権を侵害するブローチ等210個を密輸入しようとした日本人1名を関税法違反で告発(2023年11月・函館税関)。また、中国から到着した国際郵便物で商標権を侵害する帽子100点を密輸入しようとした日本人1名を関税法違反で告発した(2023年4月・大阪税関)。

 この件は

https://www.mof.go.jp/policy/customs_tariff/trade/safe_society/mitsuyu/cy2023/ka060214a.htm