23年ギフト市場は2.7%増の10兆8190億円の見込み

 矢野経済研究所が発表した「国内ギフト市場の調査」結果によると、2022年の国内ギフト市場規模は小売金額ベースで、前年比4.1%増の10兆5360億円、2023年は同2.7%増の10兆8190億円を見込んでいる。儀礼的な要素の強いフォーマルギフトは、ライフスタイルや人付き合いに対する志向の変化など、時代の流れと共に縮小傾向にあるものの、ギフトを贈るというコミュニケーション手段は、現代社会に即した形で受け継がれている。

 そして、よりパーソナルな、そしてより親密な間柄において重要度を増している。コロナ禍では、人々が集う機会に生じるギフト需要が低迷し同市場は大きな打撃を受けた。しかし、帰省等ができず家族や友人と直接会えない代わりに、感謝などの気持ちを伝えるギフトの需要が活性化した。コロナ禍以降もその傾向は継続しており、改めてコミュニケーション手段としてのギフトの存在価値が高まっているといえる。

 近年は、コト消費がさらに進化したトキ消費やイミ消費が注目を集める。トキ消費は1回きりのイベント等「その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ消費」を指すためコト消費の延長線上にあるとも言える。イミ消費は「ある商品を消費/利用することで生まれる、社会貢献的側面を重視する消費」。ギフトにおけるイミ消費は、「環境保全」、「歴史・文化伝承」などを重視し、自らの社会正義や消費観に沿ったギフト選びが該当する。

 伝統技法で作られたギフトを選ぶことで職人や産地の存続につながったり、配送の工夫をしている店舗でのギフト選びによりCO2削減に貢献できるなど、贈り主や贈り先の価値観に寄り添うイミ消費が、主に若年層を中心に見られ始めている。​こうした、オケージョンでも価格でもなく「価値観」によるギフト選びは、さまざまな切り口の登場によって今後ますます増えていく可能性を秘めている。

 2024年の国内ギフト市場規模は前年比1.7%増の11兆20億円で推移すると予測。コロナ禍では、対面での食事等のコトを通じたお祝いの機会を作れない代わりにモノが贈られていたが、人と会えるようになったことで再びコト消費へと戻りつつある。一方で、ギフトを贈ることで得られる経験は贈り主と贈り先双方にとって有意義なものである。カジュアルギフトでは2023年の単年の成長率が前年割れするものと見込まれる。

 しかし、コロナ前の2019年と比較すると二ケタ成長を遂げると見込まれるオケージョンは多い。また、人と直接会う機会に伴って発生する手土産やお土産などは2023年に大幅に成長する見込みで、まだコロナ前の水準までの回復とは言えないものの今後のプラス成長が期待されている。

 同調査結果は

https://www.yano.co.jp/press/press.php/003464