人手不足の時代に人材関連サービス業の倒産が急増

 人手不足が深刻さを増した2023年。有卦(うけ)に入ると思われた人材関連サービスの倒産件数(94件)が、コロナ禍前の2019年(70件)を4年ぶりに上回ったことが、東京商工リサーチのまとめで分かった。職業紹介業では2000年以降で最多の16件発生、コロナ禍前の2019年(4件)の4倍に急増。人手不足で求人ニーズが増えるが、クライアントの条件に見合う候補者を確保できない中小の職業紹介業は多い。

 2000年以降の職業紹介業の倒産(負債1000万円以上)は、2015年の7件をピークに低水準で推移しており、2019年も4件にとどまった。コロナ禍で採用市場が縮小した2020年は12件と3倍に急増したが、2021年は採用市場が動き出し9件に減少。その後、深刻な人手不足が表面化すると、2022年は11件、2023年は16件と右肩上がりで増加し、2000年以降で最多を更新した。

                          

 一方、同じ人材関連サービスである労働者派遣業の倒産は、2019年は66件だった。コロナ禍の2020年は56件(前年比▲15.1%減)に減少した。次いで、2021年は25件(同▲55.3%減)、2022年は55件(同120.9%増)と増え、2023年は78件(同141.8%増)と急増した。2019年から2023年にかけての職業紹介業と労働者派遣業の倒産件数は、異なる推移をみせている。

 これは、新型コロナ感染拡大に伴う雇用調整助成金(雇調金)の存在が影響している。厚生労働省は派遣元事業者に対し、一定の要件での雇調金の特例措置を講じ、積極的な雇用維持を促した。派遣従業員の休業や契約終了は雇調金で一部守られ、派遣会社の倒産は抑制されたとみられる。これに対し、職業紹介業は、雇調金の支援がなく事業環境の悪化が経営を直撃した。

 2023年の職業紹介業の倒産は、小規模中心で、負債の最高は3月に破産した(株)ヒットビット(藤沢市)の約3億7000万円だった。ヒットビットは1969年に「湘南配膳人紹介所」として創業し、業歴54年を数える業界老舗で、一時は約7000名の登録スタッフを抱え、大手ホテルなどを対象に2011年6月期は売上高6億4965万円を上げていた。しかし、業界内の競争激化で売上はジリ貧をたどった。

 そこにコロナ禍に見舞われ、2020年10月で事業を停止した。9月には(株)F2F(品川区)が、破産を申請した。医者や医療専門職の紹介を手がけていたが、売上高は3000万円台と零細規模を抜け出せなかった。いずれも大手との競合で、候補者確保に苦戦を強いられた典型例だった。

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