新型コロナ影響下での新入社員教育等の状況を調査

 産労総合研究所が発表した「新型コロナウイルス影響下での、2020年4月入社者に対する新入社員教育等の状況調査」結果(有効回答数96社)によると、2020年4月入社の新入社員に対する入社式の実施状況は、全体としては「入社式は当初の予定どおりの日時で、全員集合して実施」の割合が最も高く、56.3%だった。次いで「入社式はやむを得ず中止する」とした企業が21.9%と2割強あった。

 新入社員に対する「導入研修」は、本社人事・人材開発部門が主管し、通常は入社式直後から行われるが、その実施状況については、「当初予定の日程で実施」が70.8%で最も高く、「開始日を遅らせて実施」19.8%、「人事主管の導入研修は行わず、配属先の部門で教育」9.4%だった。また、導入研修の開始時期は、「4月中に開始」が84.4%で、大多数の企業が4月中には研修をスタートさせている。

 導入研修のプログラム内容については、59.4%と6割近くが「習得してもらう内容・要素をやむを得ず減らした」とし、「内容・要素は変更なし」は3割(31.3%)にとどまった。業種別では、製造業で「減らした」が75.6%と多い。前例のない事態だけに、人事・人材開発部門では新入社員の配属後の状況をみながら、フォロー教育の充実、自己学習支援などの対応を検討することになるとみられている。

 2020年4月入社者に対する新入社員教育全体の実施方針については、最も割合が高かったのは、「導入研修、現場実習等の期間を調整・短縮して実施し、配属日は変更しない」の55.2%で、配属日を重視する企業が多いことが分かる。3000人以上、1000~2999人では、いずれも65%以上となった。「全プログラムを当初の予定どおり実施」する企業は、全体では32.3%。299人以下では56.3%と過半数となっている。

 人材育成分野では、個人事業主の研修講師やごく小規模の教育会社も少なくない。ほとんどの外部研修が中止となった3月以降の状況が懸念される。研修中止等の場合の教育会社・外部講師への支払いに対する考え方は、「極力、延期という形で対処し、実施後に支払いができるようにする」が39.6%、「中止となってもキャンセル料は発生しない」が24.0%、「キャンセル料として全額ないし一定額を支払う」が22.9%となった。

 同調査結果は↓

https://www.e-sanro.net/share/pdf/research/pr_2005-2.pdf