人手不足への対応、「外国人の活用」も重視が3割

 日本総研が発表した「人手不足と外国人採用に関するアンケート調査」結果(有効回答数1039社)によると、現在の人手不足の状況については、8割弱(78.4%)の企業で若手・中堅層を中心に人手が足りず、3割(29.7%)がほぼ全年齢層で人手不足としている。人手不足における対応として、企業は「人材育成」(53.2%)が中心だが、女性やシニアと同様に「外国人の活用」(29.8%)も3割の企業が重視している。

 外国人の採用・活用は、大企業が中心だが、留学生アルバイトなど専門的・技術的分野以外では、中小企業にも前向きな姿勢がみられる。採用の中心年齢は34歳以下の若手で、「小売業」、「宿泊業」、「飲食業」でその傾向が顕著。国籍は、中国が多いものの、他のアジア諸国からの採用も増えている。専門的、技術的分野以外では、「ベトナム」が30.7%と、「中国」(35.4%)に次ぐ高さ。また、「フィリピン」や「ネパール」も1割前後いる。

 外国人を採用・活用する理由としては、50.2%が「日本人労働者が集まらないから」とする人手不足の強まりを指摘する企業が多い一方、「外国人のほうがまじめに働く」(13.1%)など外国人の能力や人柄、インバウンドへの対応なども挙げられている。実際の採用においては、「人物・人柄」(69.3%)や「日本語能力」(68.6%)を考慮するが、2割弱(18.7%)の企業では「人手不足で基本的に誰でも採用」との姿勢を示している。

 外国人労働者の賃金は、8割弱(77.1%)の企業が「日本人と同等の水準」としており、多くの企業で日本人と外国人の間で賃金格差はない。もっとも、「最低賃金と同程度」とする企業も11.8%あり、企業規模が小さいほど、その割合は高い。また、収益が改善傾向にある企業ほど、賃金を最低賃金と同程度とする割合が低い。研修・教育制度は、大企業で手厚い傾向にある一方、中小企業では日本語研修を義務付けるケースが相対的に多い。

 外国人労働者の活用については、「期待以上の活躍」(12.7%)と「ほぼ期待通りの活躍」(64.4%)を合わせ8割弱の企業は活躍に満足している。一方、「コミュニケーション」(44.1%)や「限られた雇用期間」(37.9%)などが課題。18.0%の企業は、今後の外国人採用は基本的に「自助努力での対応」を考えているが、人材獲得競争の激化が見込まれるなか、「国が相応のコストを払って対応すべき」(19.9%)と考える企業も同程度ある。

 同調査結果は↓

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/researchreport/pdf/11052.pdf