EVの本格普及を見据えた自動車税制の見直しに着手

 財務省によると、車体課税・燃料課税の税収は、燃費の良い自動車の普及や、エコカー減税の導入など累次の減税措置等により、2007年から2022年までの15年間で合計約1.7兆円減少している。今後も、自動車の電動化等により、燃料課税の税収はさらに減少する可能性がある。こうしたなか、政府の税制調査会は、26日に開いた総会において、電気自動車(EV)の本格普及を見据えた自動車税制の見直しに着手した。

 車体課税は、自動車重量税が車両重量に応じて課税されるなど、道路損壊等に密接に関連する。累次の税制改正大綱において、「原因者負担・受益者負担」としての性格について言及がなされている。2014年度与党税制改正大綱(抄)では、「自動車重量税については、道路等の維持管理・更新や防災・減災等の推進に多額の財源が必要となる中で、その原因者負担・受益者負担としての性格を踏まえる」としている。

 ところが、2018年度時点で、国・地方の自動車関係税収の歳入が約6.2兆円である一方で、道路整備などにかかった道路関係の歳出は約7.8兆円と上回った。その後も自動車関係税収の減少でこの差は広がる。国土交通省の推計では、道路橋やトンネルの老朽化でインフラ設備の維持管理・更新費用はさらに増える。こうした状況下、EVはガソリン車に比べて車両重量が約200~300キロ重く、道路構造物への負荷も大きいとされる。

 さらに、課税関係をみると、取得・保有段階での自動車税・軽自動車税は、ガソリン車とともにEV等も課税されるが、EV等はグリーン化特例で新車に係る翌年の自動車税種別割が75%軽減されるほか、EVや燃料電池自動車は排気量がないため最低税率で課税される。利用段階での自動車重量税はEV等も課税されるが、2回免税がある。走行段階での揮発油税や地方揮発油税に至っては、燃料を使わないEV等は課税されない。

 こうしたことから、2023年度税制改正では、道路等のインフラ費用を賄う代替財源の確保に向けて走行距離に応じた課税が検討されるほか、2023年4月に期限を迎える減税措置の見直しも焦点となるようだ。自動車重量税に適用するエコカー減税制度を見直し、税優遇の適用基準を厳しくする。ガソリン車やハイブリッド車が燃費性能に応じて減税が受けられる仕組みも、適用要件を厳しくする方向で検討する。

 財務省の説明資料は

https://www.cao.go.jp/zei-cho/content/4zen20kai2.pdf