政府税調、相続・贈与税のあり方検討で専門家会合設置

 政府税制調査会は、資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築等に向けた相続税・贈与税のあり方について検討するため、専門家会合を設置、今後の総会における議論の素材を整理する。これは、税調の第4回総会(2020年11月)での議論を踏まえたもので、相続税と贈与税をより一体的に捉えて課税する観点から相続時精算課税制度と暦年課税制度のあり方の見直しや、贈与税非課税措置のあり方の見直しの検討が中心になると思われる。

 「中立的な税制」とは、資産の移転の時期、あるいは回数・金額にかかわらず、納税者にとって生前贈与と相続を通じた資産の総額に係る税負担が一定になる税制のこと。このような制度の下では、税負担を意識して財産の移転のタイミングを計る必要がなく、ニーズに則した財産の移転が促進される一方で、意図的な税負担の回避も防止されることになると財務省では説明している。

 相続税・贈与税の一体化措置である相続時精算課税制度は、暦年課税との選択制として2003年度税制改正において導入された。ただし、これまでの税調の議論では「この制度を選択した場合、それ以降の税負担は、資産移転の時期の選択によらず一定となるため生前贈与に対する抑制は働かないと考えられるが、必ずしも広く利用されている状況ではない」としていた。

 一方、教育資金や結婚・子育て資金を一括して拠出した場合に一定限度額までは贈与税が非課税となる措置や住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置について、税調では「資産の早期移転による消費拡大を通じた経済の活性化を図るための時限措置として設けられたものだが、限度額の範囲内では家族内における資産の移転に対して何らの税負担も求めない制度となっており、格差の固定化につながりかねない側面がある」としていた。