2020事務年度法人税調査、申告漏れ総額5286億円

 国税庁がこのほど公表した2020事務年度の法人税等の調査事績によると、今年6月までの1年間(2020事務年度)においては、あらゆる資料情報と提出された申告書等の分析・検討を行った結果、大口・悪質な不正計算等が想定される法人など、調査必要度の高い法人2万5千件について実地調査を実施した。その結果、申告漏れ所得金額は5286億円、追徴税額(法人税・消費税)は1936億円となっている。

 コロナ禍の影響で実地調査件数等が大幅に減少するなか、“簡易な接触”を活用し、自発的な申告内容等の見直し要請を6万8千件(前事務年度比56.5%増)実施。その結果、申告漏れ所得金額は76億円(同79.2%増)、追徴税額は62億円(同128.7%増)。簡易な接触とは、税務署において書面や電話による連絡や来署依頼による面接により、納税者に対して自発的な申告内容の見直しなどを要請するもの。

 以上のように、法人税等の調査は、新型コロナの影響から調査件数等は減少したが、実地調査1件当たりの追徴税額は780万6千円と、前年度(313万5千円)から約2.5倍に増加している。また、源泉所得税については、実地調査の件数は2万9千件であり、源泉所得税等の非違があった件数は1万件、追徴税額は145億円。簡易な接触の件数は13万8千件であり、追徴税額は74億円となっている。

 不正を業種別(調査件数350件以上)にみると、不正発見割合の高い10業種では、「バー・クラブ」が53.7%で19年連続のワースト1位。「バー・クラブ」は、近年25年間で24回1位(唯一2001年度がワースト2位)という不名誉な記録を持つワースト業種の常連。以下、「外国料理」(52.0%)、「美容」(37.5%)、「医療保健」(36.7%)、「生鮮魚介そう卸売」(36.2%)、「一般土木建築工事」(36.0%)の順で続く。

 また、1件あたりの不正所得金額が大きい10業種では、1位は前年ランク外の「自動車・同付属品製造」の4323万円、2位は「その他の不動産」(4310万円)、3位は「貿易」(4187万円)、4位は「建売、土地売買」(4069万円)、5位は「情報サービス、興信所」(4049万円)、6位は「その他のサービス」(3832万円)と続く。不正発見割合でワースト1位の「バー・クラブ」は2386万円でランク外だった。

 同調査事績の概要は↓https://www.nta.go.jp/information/release/kokuzeicho/2021/hojin_chosa/pdf/01.pdf