新規開業費用は過去最少の平均941万円~日本公庫

 経営者の開業時の年齢は、「40歳代」が36.9%と最多、次いで「30歳代」が31.3%と、両年代が開業の担い手となっていることが、日本政策金融公庫が発表した「2021年度新規開業実態調査」結果(有効回答数1467社)で分かった。全体の平均は43.7歳で、調査開始以来最高の2020年度と同水準となった。調査は、同公庫が2020年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業1年以内の企業を対象に実施したもの。

 開業者に占める女性の割合は、前年から0.7ポイント減の20.7%となったが、女性の割合は緩やかな増加傾向にある。開業業種については、「サービス業」が28.1%で最も多く、次いで「医療、福祉」(17.4%)、「飲食店、宿泊業」(14.7%)、「小売業」(11.5%)などの順で、地域に根差して営業する業種が多い。開業時の平均従業者数は3.2人。調査時点(7月)の平均従業者数は4.2人となっており、開業時から0.9人増えた。

 開業費用の分布をみると、「500万円未満」の割合が42.1%を占めて最も多く、次いで「500万円~1000万円未満」が30.2%、「1000万円~2000万円未満」が17.8%、「2000万円以上」が9.9%となっており、1000万円未満での開業が72.3%と約7割を占める。開業費用の平均値は941万円、中央値は580万円だった。開業費用の平均値は、昨年から48万円減少し、1991年度の調査開始以来、最も少なくなった。

 開業時の資金調達額は平均で1177万円となり、2020年度より17万円減少し、調査開始以来、最も少なかった。資金の調達先に関しては、「金融機関等からの借入」が平均803万円(平均調達額に占める割合は68.3%)、「自己資金」が平均282万円(同23.9%)となっており、両者で全体の約9割を占めている。最近は「自己資金」の割合が減少傾向にあったが、今回は前年度より16万円増となり、2年連続の増加となった。

 なお、新型コロナウイルス感染症によるマイナスの影響を「受けた」との回答割合は76.9%と2020年度に比べて3.3ポイント低下。業種別にみると、「飲食店・宿泊業」(93.4%)や「運輸業」(87.7%)、「卸売業」(85.7%)、「教育・学習支援業」(83.7%)で特に高く8割を超えている。影響の内容(複数回答)は「売上が予定より減った」(70.2%)が最も多く、「利益が予定より減った」(50.2%)、「営業を一部自粛した」(28.9%)が続く。

 同調査結果の概要は↓

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_211129.pdf