業績連動型給与の損金算入の特例に係る事業報告書

 2021年度税制改正で、投資運用業を主業とする非上場の非同族会社等について、業績連動給与の算定方法等を金融庁のウェブサイトへ掲載する場合等には、損金算入を認める特例が設けられた。これは、専ら海外投資家を対象とする金融事業者及びそこで働く高度金融人材に対する課税の特例等を設けることで、国際金融ハブ取引について、金融事業者・高度金融人材が日本に参入しやすくするための税制上の措置。

 金融庁は、この特例を受けるため、金融庁ウェブサイトへ業績連動給与の算定方法等を記載した事業報告書の掲載希望者は、同特例を受ける会社等の法人名、担当者氏名(部署、役職)、連絡先(住所、電話番号又は電子メールアドレス)及び業績連動給与の算定方法等を記載した事業報告書のページ番号をメール本文に記載の上、businessreport★fsa.go.jp宛(注:★記号を@記号に置き換える)に、事業報告書のPDF提出を求めている。

 また、同PDFの記載事項が監督局証券課又は財務局に提出された事業報告書と異なる記載の場合には、金商法198条の6に基づく事業報告書の虚偽記載に該当するおそれがある点に留意するよう呼びかけている。なお、国際金融ハブ取引に係る税制措置は、改正前は業績連動型の役員報酬を損金算入するためには、その算定方法について、有価証券報告書に記載が必要となっていた。

 有価証券報告書を提出していない投資運用会社については、役員報酬を損金に算入できなかった。改正後は、有価証券報告書を提出していない運用会社についても、一定要件を満たす場合には、業績連動型の役員報酬の損金算入ができることとされた。それは、(1)業績連動型役員報酬の算定方法が事業報告書・ディスクロージャー誌に記載されていること。(2)金融庁ウェブサイトに事業報告書が公表されていること。

 さらに、(3)組合契約書等にあらかじめ業績連動型役員報酬が支払われる旨の記載があること。(1)~(3)の要件、又は、事業年度以前に開催される組合員集会等において、業績連動型役員報酬が支払われる旨の報告が行われ、その議事録に出資者から異議があった旨の記録がないこと。これらの要件を満たす場合には、業績連動型の役員報酬の損金算入が可能とされている。