過剰債務率29.2%、4月の調査開始以来初の3割割れ

 東京商工リサーチが10月上旬に実施した「債務の過剰感についてアンケート調査」結果(有効回答数8894社)によると、「コロナ前から過剰感がある」は10.0%、「コロナ後に過剰となった」は19.2%で、29.2%の企業が「過剰債務」であると回答した。「過剰債務」と回答した企業割合は、前回調査(2021年8月)の32.9%から3.7ポイント低下し、2021年4月に調査を開始して以来、初めて3割を割った。

 ワクチン接種の進捗や9月30日をもって緊急事態宣言、まん延防止等重点措置が全国で解除され、経済活動の活性化への期待が影響した可能性がある。同調査では、負債比率や有利子負債比率など財務分析の数値に限定せず、債務の過剰感を聞いている。規模別で「過剰債務」と回答したのは、大企業で13.8%(1311社中、182社)に対して、中小企業は31.9%(7583社中、2422社)。前回調査では、それぞれ16.7%、35.7%だった。

 「過剰感がある」と回答した企業を業種別でみると、「過剰債務率」の最高は、「宿泊業」で74.5%。次いで、前回トップだった「飲食店」の74.2%で、前回から5.4ポイント改善。外出自粛の緩和によるキャッシュフローの改善期待が背景にあるとみられる。また、いわゆる「アパレル小売」が含まれる「織物・衣類・身の回り品小売業」は71.4%、旅行や葬儀、結婚式場などの「その他の生活関連サービス業」は64.0%だった。

 債権回収会社(サービサー)を活用した「過剰債務」への対応(複数回答)については、最多は、「サービサーを活用したくない」の42.9%。次いで、「サービサー自体を知らない」の42.3%。「その他」では、「債権回収会社どうのではなく、新型コロナでの借入は債務免除するべきだと思う」(資本金1億円未満、紙加工品製造)、「サービサーのメリット/デメリットがよく分からない」(資本金1億円未満、印刷業)などの声があった。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20211015_02.html