押印原則廃止での相続税申告書の作成方法を公表

 国税庁はこのほど、税務関係書類の押印義務原則廃止スタートに伴い、「複数の相続人等がいる場合の相続税の申告書の作成方法~押印をせずに相続税の申告書を提出する場合~」のリーフレットをホームページ上に公表した。2021年度税制改正大綱に税務関係書類の押印義務の原則廃止が明記され、「押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても、運用上、押印がなくとも改めて求めないこととする」とされた。

 これを受け、国税庁では、全国の税務署窓口においても本件見直しの対象となる税務関係書類について押印がなくとも改めて求めないこととする旨を公表している。この「対象となる税務関係書類」には相続税の申告書も含まれており、相続人又は受遺者による相続税申告書への押印も同様の取扱いとなることから、国税庁は、前述の情報を公開し、複数の相続人等がいる場合の相続税の申告書の作成方法について解説している。

 それによると、2人以上の相続人等がいる場合に相続税の申告書へ押印をしないときは、申告書の提出意思の有無を明らかにするため、申告書第1表及び第1表(続)には共同して提出する人のみを記載することとしている。共同して申告書を提出しない相続人等については、別途申告書を作成・提出する必要がある。いずれの場合も、課税価格の計算欄には、共同して申告書を提出しない相続人等も含めた全ての相続人等に係る合計額を記載する。

 具体例では、被相続人の相続税の申告書について、相続人のうち配偶者と長女は共同して申告書を提出するが、長男は別に申告書を提出するケースを取り上げている。共同申告しない相続人等も申告書に記載する場合では、申告書第1表等について全ての相続人等の氏名や金額を記載する場合には、第1表等のうち共同して申告書を提出しない者の氏名及び金額欄を斜線で抹消する等して、その者が共同申告しない相続人等であることを明示する。

 なお、法令上、相続税の申告書は、2人以上の相続人等が共同して提出する場合に一の申告書に連署して提出することとされている。また、e-Taxによる相続税の申告について、複数の相続人等の申告を税理士等がまとめて代理送信する場合には、申告書第1表等に利用者識別番号の入力がある相続人等のデータを有効なものとして受け付けることとなるので、共同して申告書を提出するか否かの明示を別途行う必要はないとしている。

この件は↓

https://www.nta.go.jp/publication/pamph/sozoku/pdf/0020012-133.pdf