コロナ禍で17~19歳の4人に1人が読書量が増えた

 日本財団は、「読む・書く」をテーマに30回目の18歳意識調査(17~19歳が対象)を実施。読書が好きな人は59.7%と6割近くにのぼり、嫌いと答えた人は約1割(12.8%)にとどまった。月に読む本数は「1、2冊」が44.8%でトップ、「全く読まない」も32.7%にのぼっている。好きなジャンルは「小説」62.6%、「漫画」49.9%、「ライトノベル」26.0%の順。コロナ禍で24.9%と4人に1人が読書量が増えたとしている。

 新聞を読む人は32.7%で、2018年9月に実施した「第2回:新聞」の調査結果(47.5%)より14.8ポイント落ち込んでいる。読む時間は「5分以上10分未満」が44.3%で最も多く、次いで「5分未満」32.7%。文章を書くことについては「好き」が29.4%、「嫌い」が27.7%と拮抗している。文章を書くのが好きな人は、読書が好きな人や月に3冊以上読む人でさらに10ポイント以上高い傾向が出ている。

 近年、指摘される読解力の低下に関しては65.4%が「好ましくない」と答え、自身の読解力に関しては38.2%が「低いと思う」、33.7%が「低いと思わない」と答えている。今回の調査では、主体的な行動の原動力の一つになり得る「読解力」及び「文章力」に着目。過去の18歳意識調査を振り返ると、設問に対する関心の低さや複雑な問題になると「わからない」という意見が増える傾向にあるという。

 自身で考えることや意見を述べる姿勢が希薄に感じられ、同様の狙いで実施した9ヵ国調査でも「自分で国や社会を変えられる」と考える日本の若者は18.3%でダントツの最下位。また、「将来の夢を持っている」、「国に解決したい社会課題がある」という質問に対する回答も他国と比べて30%近く低い数字。実際に投票率が約四半世紀ぶりに50%を割り込んだ昨年の参院選でも10代の投票率は32.28%にとどまった。

 OECDが2018年に実施した国際学習到達度調査(PISA)でも、日本の読解力は世界15位に低下。結果では、18歳意識調査で感じている疑問と同様に「読解力の自由記述形式の問題において、自分の考えを他者に伝わるように根拠を示して説明することに、引き続き、課題がある」と指摘されている。日本財団は、これを契機に若い世代の「読むこと」、「書くこと」に重点を置いた調査を実施したとしている。

 同調査結果は↓

https://www.nippon-foundation.or.jp/app/uploads/2020/10/wha_pro_eig_146.pdf