中小企業へのコロナのマイナス影響が依然として9割

 中小企業家同友会全国協議会が7月に実施した「新型コロナウイルスの中小企業への影響調査」結果(有効回答数3437社)によると、新型コロナ感染症拡大による経営へのマイナスの影響が「出ている」との回答が5月実施時から2ポイント増の 58.9%となった。「今後マイナスの影響が懸念される」(26.5%)と合わせると前回同様9割に及ぶ。6月の前年同月対比の売上は 56%の企業が「減少」と回答、3月、5月調査と同じ水準が続いている。

 具体的なマイナスの影響としては「商談遅延」(29.3%)、「予約キャンセルによる売上減や損失」(23.9%)、「来店客の減少等による売上減少」(21.6%)が上位を占めている。また、政府から「新しい生活様式」が求められるようになり、それによって「マイナスの影響」(32.0%)、「プラス・マイナス両方の影響」(32.5%)を受けている企業がそれぞれ 32~33%あり、合わせるとマイナスの影響を受けている企業は 65%にのぼる。

 国の支援策としては、「持続化給付金」(33.7%)は3社に1社、「政府系金融機関の融資」(27.9%)、「雇用調整助成金」(25.4%)は4社に1社で利用。「民間金融機関の実質無利子・無担保融資」(19.9%)も約2割の企業が利用している。利用した結果、「大変役にたった」(25.1%)、「ある程度役立った」(25.2%)を合わせると5割を占めている。一方、「もっと拡充してほしい」(13.0%)、「手続きが煩雑」(8.5%)なども少なくない。

 新型コロナ収束後のアフターコロナの経済・社会の予測では、「デジタル化・IT 化の推進」(54.6%)、「テレワーク・リモートワークの増加」(49.9%)が5割前後の回答となった。一方で「リアルでの対面接触の価値向上」(21.1%)も多く、デジタル化が進むとともに、リアルの価値も向上するとの見方が少なくない。感染者が大都市で多く発生していることなどを背景に「地方分散型社会への転換が進む」(28.1%)との回答も多くみられた。

 現在の経営上の力点としては「付加価値の増大」(30.7%)、「新規受注(顧客)の確保」(28.2%)が上位に。その実現のために「人材確保」(15.7%)と「社員教育」(18.1%)に取り組んでいこうという姿勢がみられる。一方、「人件費節減」は 2.7%とごく少数にとどまる。厳しい経営環境の中で給付金や助成金、融資制度を活用しながら新規事業に積極的に取り組み、従業員の雇用と生活を守ろうと努力している姿を見てとることができる。

 同調査結果は↓

https://www.doyu.jp/policy/seisaku/doc/20200819coronareseach_press.pdf