女性社長比率は全国で8.0%、1割下回る低水準で推移

 帝国データバンクがこのほど発表した「全国女性社長の分析調査」結果によると、2020年(4月末)における女性社長の比率は、全国で8.0%となった。30年前の1990年は4.5%、20年前の2000年は5.6%、10年前の2010年は6.8%と、女性社長比率は緩やかな上昇傾向で推移してきた。しかし、2020年は20年ぶりに前年比横ばいとなったほか、依然として女性社長の占める割合は1割を下回る低水準で推移している。

 2020年の女性社長の年代分布は、最も割合が高いのが「70~74歳」(15.7%)、以下、「65~69歳」(13.7%)、「60~64歳」(13.0%)と続いた。2020年における女性社長の平均年齢は63.0歳(男性社長は60.5歳)。男性社長と比べると、70代以降は総じて女性社長の年齢層が高くなった。特に、「80歳以上」(9.3%)は19年から0.6ポイント増加し、22年連続で前年を上回ったほか、同世代の男性社長(4.6%)に比べ2倍超の差が開いた。

 就任経緯をみると、女性社長は「同族承継」(50.6%)による就任が最も多かった。しかし、2019年(50.8%)と比較すると割合は僅かに減少した。また、女性社長のうち、直近1年間(2019年5月~2020年4月)で新たに就任した新任女性社長の年齢分布をみると、最も割合が高いのは「80歳以上」(12.1%)、以下、「70~74歳」(11.8%)、「65~69歳」(11.1%)と続き、総じてシニア層の新規就任が多い。

 判明した新任女性社長の就任経緯は、最多は「創業者」(62.9%)となり、前年(40.5%)の水準から大幅に上昇。以下「同族承継」(23.4%)、「内部昇格」(5.1%)の順。依然として「同族承継」の割合が男性社長に比べ高く推移しているものの、両者の差は大幅に縮まった。また、「創業者」の割合は男性社長に比べて大きな差異はなかった。他方、「内部昇格」の割合は男性社長に比べて下回るなど、社内登用による女性社長就任は低水準にある。

 年商規模別では、2020年の女性社長比率は年商「5000万円未満」が11.4%で最多、「100億円以上」では1.4%にとどまった。最も上昇幅が大きい「5000万円未満」では、1990年(7.8%)から3.6ポイント上昇に対し、「100億円以上」では1990年(0.9%)から0.5ポイントの上昇にとどまった。中小零細企業では女性社長の就任割合が高まっているのに対し、大規模企業では割合にほとんど変化がみられない。

 業種別では、2020年の女性社長比率は「不動産」(16.8%)が最高となり、30年前(1990年)から7.2ポイント上昇し、上昇幅も全業種中最大。以下、「サービス」(10.8%)、「小売」(10.6%)と続き、B to C業種で女性社長比率が高い。他方、「建設」(4.8%)の女性社長比率は1997年以降24年連続で全10業種中最低となり、全体(8.0%)からも大きく下回った。

 同調査結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200716.pdf