企業の人手不足感が急激低下、「旅館・ホテル」で顕著

 現在の正社員の過不足状況について、「不足」と回答した企業が31.0%となり、前年同月比で19.3ポイント減少し、人手不足割合は大幅に減少したことが、帝国データバンクが4月16~30日に実施した「人手不足に対する企業の動向調査」結果(有効回答数1万1961社)で分かった。「適正」は47.2%で同5.9ポイント増加し、企業の半数弱が人手は適正と感じている。「過剰」と回答した企業は21.9%で同13.5ポイント増となった。

 「不足」企業を業種別にみると、「農・林・水産」(48.2%、前年同月比22.9ポイント減)と「建設」(48.2%、同18.1ポイント減)が最も高い。次いで、「メンテナンス・警備・検査」(46.5%、同21.3ポイント減)、「電気通信」(45.5%、同9.1ポイント増)、「情報サービス」(44.6%、同29.8ポイント減)が続いた。人手不足割合が高い上位10業種のうち9業種が減少となるなか、「電気通信」のみ増加した。

 規模別にみると、「大企業」(38.7%)は前年同月比21.3ポイント減少、「中小企業」は29.3%(同18.6ポイント減)、「小規模企業」は28.4%(同14.5ポイント減)となった。人手不足割合を月次の推移でみると、新型コロナウイルスの影響が広がる以前の期間と比較して、特に3月と4月で大きく変化。外出自粛や休業が広がった影響で経済活動が停滞し、業務量が大幅に減少したことで人手不足割合にも変化が起きている。

 一方、非正社員が「不足」と回答した企業は16.6%(前年同月比15.2ポイント減)となり、4月としては7年ぶりの1割台となった。「適正」は61.7%でほぼ横ばい、「過剰」は21.6%(同14.8ポイント増)となり大きく増加している。業種別にみると、スーパーマーケットを含む「各種商品小売」は55.3%(同0.8ポイント減)となり、最も高かった。外出自粛にともない需要が拡大していることで、他業種より割合が高くなっている。

 次いで、「電気通信」(44.4%、前年同月比14.4ポイント増)が続き、正社員と同様に増加。以下、「農・林・水産」(38.5%)、「メンテナンス・警備・検査」(35.2%)、「飲食料品小売」(32.4%)、「医療・福祉・保健衛生」(31.4%)が3割台で続いた。また、これまで人手不足が目立っていた「飲食店」は16.4%(同62.2ポイント減)、「旅館・ホテル」は6.9%(同47.3ポイント減)となり、大幅に減少している。

 「人手不足に対する企業の動向調査」結果は↓

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200510.pdf