日税連、税理士の在宅勤務での注意点を会員に周知

 新型コロナウイルスの影響で外出自粛が要請されるなか、テレワークを導入して社員に在宅勤務を要請する企業も多い。日本税理士会連合会でも、現行税理士法下の税理士の業務とテレワークについて検討を進めていたが、このほど、新型コロナウイルス感染拡大への対応の観点から、緊急に、テレワーク類型のうち在宅勤務に関するFAQを取りまとめ、会員への周知を図っている。

 それによると、開業税理士が自宅で税理士業務を行う態様として、(1)自宅を税理士事務所として行う、(2)登録事務所は別途存在しているが、自宅で税理士業務を行う、の2パターンを示し、(1)の場合は、登録手続きが適正になされた上で、自宅で税理士業務を行っていれば問題はなく、(2)の場合も、税理士業務について税理士事務所以外の場所で行うことまでは制限されていないことから、自宅であっても税理士業務は行えるとしている。

 また、税理士法(第40条第3項)では、2ヵ所目の事務所の設置が禁止されているが、臨時的に仕事を自宅に持ち帰り税理士業務を行ったり、自宅への来客に対し一時的に税務相談に応じるなどの行為を行ったとしても、自宅が外部に対する表示の有無等の客観的事実により、税理士事務所と判断される状態でなければ、2ヵ所事務所の問題は生じないものと考えるとの見解を示している。

 そのほか、税理士や税理士法人の使用人等(所属税理士を除く)が、自宅で税理士業務の補助業務を行う場合は、税理士による使用人等の監督が物理的に行えないため、いわゆる非税理士行為の温床となりやすい場面でもあるので、非税理士行為を防止する観点からの一定の制御ができているかどうかが極めて重要になる。また、使用人等が顧問先の資料等を自宅に持ち帰ることがある場合、守秘義務を遵守できる保管場所等の確保が求められる。

 具体的には、税理士・税理士法人の使用人等に対する監督義務の適正な履行であり、その義務は使用人等の業務執行の場所を問うものではなく、使用人等が税理士事務所以外の場所で業務を行う場合でも税理士又は税理士法人の監督下にあることが求められる。したがって、これらの使用人等に対する監督が明確に行われていることを前提に、使用人等が、税理士業務の補助業務を使用人等の自宅で行うことは可能だとの見解を示している。