新型コロナ感染拡大の影響で中小企業業況は大幅悪化

 信金中央金庫が全国の信用金庫の協力を得てとりまとめている「全国中小企業景気動向調査」の2020年3月調査(調査期間:3月2日~6日)では、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて業況が悪化する企業が多く見られたという。2020年1~3月の業況判断D.Iは▲19.3となり、前期比11.5ポイント悪化。悪化幅はリーマンショック時(12.6ポイント悪化)以来の大幅なものとなった。

 業種別では、全6業種で悪化した。最も悪化幅が大きかったのは「卸売業」(17.3ポイント悪化)で、次いで「サービス業」(14.7ポイント悪化)、「製造業」(13.2ポイント悪化)の順だった。小業種別にみると、「旅館・ホテル」(37.2ポイント悪化)、「飲食料品卸売業」(29.9ポイント悪化)、「建築材料卸売業、家電小売業」(19.0ポイント悪化)などの落ち込みが目立っている。

 同調査による信用金庫調査員のコメントからは、「コロナウイルスの影響で一部の中国産の製品、部品に関して入荷が未定となっており、納期に遅れがでる可能性がある」(建材卸売業、青森県)」のようにサプライチェーンの混乱により事業に深刻な影響を及ぼしている企業や、「外国人観光客、日本人観光客ともに激減している」(宿泊業 沖縄県)」のようにインバウンド需要の喪失に伴い事業に深刻な影響がでている企業もある。

業況同様に資金繰りについても悪化していると回答する企業が増えている。資金繰り判断D.Iは▲11.3となり、前期比3.5ポイント悪化。リーマンショック時(6.4ポイント悪化)に次ぐ悪化幅となった。また、業種別では全6業種で悪化した。小業種別にみると、「旅館・ホテル」(24.2ポイント悪化)、「金属プレス」(12.3ポイント悪化)、「家電小売業」(8.8ポイント悪化)、「輸送用機械製造業」(7.7ポイント悪化)などの落ち込みが目立つ。

 以上のように、新型コロナウイルス感染拡大の影響によるサプライチェーンの混乱やインバウンド需要の喪失に伴い卸売業、サービス業をはじめ業況の悪化が明らかとなった。他業種も今後影響がでてくる可能性が高く不透明感が拭えない状況だ。資金繰りについても今後借入を検討する可能性があるといったコメントが多く、信用金庫としては今後取引先の業況、資金繰りを正確に聴取した上で適切な対応が求められるとしている。

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