「事業承継を了解済の後継者」がいる企業は5割強

 大阪商工会議所が府内の中小企業(代表者年齢60歳以上)を対象に実施した「中小企業の事業承継に関するアンケート調査」結果(有効回答数1889社)によると、事業承継に関する代表者の意向は、およそ半数(53.5%)が「親族に承継したい」と回答した。「役員・従業員に承継したい」(17.2%)がこれに続く。個人事業主に限ってみると、「親族に承継したい」が56.4%で最多、次いで「自分の代で廃業するつもり」が17.9%だった。

 業種別にみると、「親族に承継したい」とするのは「不動産業」(64.0%)が最多、「小売業」(63.5%)がこれに続き、「サービス業」(41.7%)が約4割で最小だった。また、事業承継の準備を「既に進めている」のは46.4%で、個人事業主に限ると41.9%。代表者の年齢別にみると、70歳以上の層でも5割強(52.5%)にとどまる。業種別にみると「既に準備を進めている」のは、「製造業」(51.3%)、「小売業」(47.4%)が多い。

 現在の代表者にとって意中の「後継者はいる」とする回答は、全体の約7割(69.1%)だった一方、「後継者はまだ決めていない」(15.1%)と「後継者はいない」(12.8%)を合わせると、3割近くにのぼる。特に個人事業主に限ると、「後継者はいない」(23.1%)が2割強を占める。代表者の年齢別にみると、70歳以上の層でも、「後継者未定」(9.4%)又は「不在」(11.4%)とする回答が合わせて約2割にとどまる。

 代表者にとって意中の「後継者はいる」との回答者のうち、「既に後継者本人の了解を得ている」のは、7割強(73.8%)。すなわち、「意中の後継者が存在し、かつ後継者本人の了解を得ている」のは、回答者全体の5割強(51.0%)にとどまる。70歳以上の層でも59.2%と約6割にとどまる。業種別にみると、「製造業」が54.3%で最多、「建設業」が53.3%でこれに続き、「不動産業」が44.1%で最小だった。

 5年後の事業承継の進捗状況の予想では、「順調に進んでいない可能性がある」との回答が3割台半ば(35.0%)だったが、その場合に検討・進めていると予想される事業承継の手法(複数回答)は、6割強(61.5%)が、「親族・従業員への承継を検討・進めている」と回答。「取引先への譲渡やM&Aを検討・進めている」(22.1%)や「廃業を検討・準備をしている」(21.8%)も2割以上あった。

 同調査結果は↓

http://www.osaka.cci.or.jp/Chousa_Kenkyuu_Iken/Iken_Youbou/200326okb.pdf