2020年度国民負担率は過去最高の44.6%となる見通し

 財務省は2月26日、国民負担率が、2020年度予算では2019年度実績見通しから0.7ポイント増の44.6%と過去最高になるとの見通しを発表した。国民負担率とは、国民所得に対する税金や社会保険料(年金・医療費などの保険料)の負担割合。20年度見通しの内訳は、国税16.4%、地方税10.1%で租税負担率が26.5%、社会保障負担率は18.1%。20年度は昨年10月の消費増税分が年間を通して国民負担に影響する。

 2019年度実績見込みに比べ、租税負担率は0.8ポイント増(国税:0.7ポイント増、地方税:0.1ポイント増)、社会保障負担率は横ばいだったものの、この統計を開始した1970年度以降では3年連続で過去最高の18.1%となっている。国民負担率を諸外国(17年実績)と比べた場合、アメリカ(34.5%)よりは高いが、フランス(68.2%)、スウェーデン(58.9%)、ドイツ(54.1%)、イギリス(47.7%)よりは低い。

 真の負担率は、財政赤字という形で将来世代へ先送りしている負担額を加える必要がある。財務省によると、2020年度の国民所得(19年度に比べ7万1千円増の415万2千円)に対する財政赤字の割合は、前年度から横ばいの5.3%となる見通し。この結果、20年度の国民負担率に財政赤字を加えた「潜在的な国民負担率」は、19年度実績見込みからは0.8ポイント増の49.9%と、かろうじて50%を下回る見込み。

 この「潜在的な国民負担率」は、2013年度以降8年連続で50%を下回る見通し。なお、租税負担率は、戦後は40年代半ばの混乱期を除いて20%前後で推移。しかし80年台前半以降、次第に上昇し始め、89・90年度の27.7%をピークに、その後はほぼ20%台前半で推移。OECD加盟36ヵ国との17年実績での比較では、比較可能な35ヵ国中、日本(25.5%)はメキシコ(18.8%)、チリ(22.1%)などに次ぐ5番目に低い水準となる。

 また、2020年度見通しの国民負担率44.6%は、調査開始以来、過去最高だった18年度の44.1%を0.5ポイント上回り、7年連続で40%台の高水準の数字となる見込みだ。OECD加盟36ヵ国と17年実績で比較した場合、日本(43.3%)は、比較可能な35ヵ国のなかで下から9番目に低い。ちなみに、最高はルクセンブルグの93.7%、最低はメキシコの21.1%(租税負担率も最低の18.8%)だった。

 「国民負担率(対国民所得比)の推移」は↓

https://www.mof.go.jp/budget/topics/futanritsu/sy202002a.pdf