仕入価格上昇の生活衛生関係企業割合が4期ぶり低下

 日本政策金融公庫が飲食業や理・美容業などの生活衛生関係企業を対象に9月上旬に実施した「価格動向に関するアンケート調査」結果(有効回答数3151社)によると、仕入価格が前年に比べ「上昇した」と回答した企業割合は45.9%と、4期ぶりに前年調査を下回ったことが分かった。上昇した企業を業種別にみると、「ホテル・旅館業」が65.5%と最も多く、次いで、「飲食業」(61.5%)、「クリーニング業」(57.6%)となっている。

 仕入価格上昇の背景(2つまで回答)は、「原材料等の製造業者による値上げ」と回答した企業割合が67.1%と最も多く、次いで、「天災・天候不順」(32.6%)、「原材料等の生産量・流通量の不足」(27.6%)。仕入価格上昇の経営悪化への影響は、「影響がある」と回答した企業割合が83.4%と、約8割を占めた。業種別にみると、「食肉・食鳥肉販売業」が88.4%と最も多く、次いで、「クリーニング業」(88.1%)、「飲食業」(86.4%)だった。

 仕入価格上昇への対策で効果的だったもの(2つまで回答)は、「販売価格への転嫁」と回答した企業割合が30.2%と最も多く、次いで、「諸経費(人件費、光熱費等)の削減」 (27.7%)、「仕入先の変更」(24.8%)。仕入価格上昇分の販売価格への転嫁は、「全く転嫁できていない」と回答した企業割合が54.0%と、前年調査を3.2ポイント下回ったものの、依然として全体の約5割を占めている。

 業種別にみると、「全く転嫁できていない」と回答した企業割合は、「クリーニング業」が64.5%と最も多く、次いで、「公衆浴場業」(64.3%)、「理容業」(60.0%)。一方、「食肉・食鳥肉販売業」は、「一部転嫁できている」(43.5%)、「概ね転嫁できている」(18.8%)との回答割合で、他の業種を大きく上回っている。また、今後1年間の仕入価格の見通しは、「上昇する」と回答した企業割合が57.5%と、約6割を占めた。

 販売価格を前年に比べ「引き上げた」と回答した企業割合は14.5%と、前年調査を2.8ポイント下回った。販売価格引上げの理由(2つまで回答)は、「商品・サービスの付加価値向上」が49.8%と最も多く、次いで、「人件費の増加」(39.5%)、「人件費以外の経費の増加」(35.7%)だった。今後1年間の販売価格の見通しは、「引き上げる」と回答した企業割合が33.8%と、前年調査を13.6ポイント上回った。

 同調査結果は↓

https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/seikatsu19_1223a.pdf