オフィス賃料、全国平均は4.0%上昇と6年連続増加

 日本不動産研究所がこのほど発表した「第24回全国賃料統計(2019年9月末現在)の調査」結果によると、オフィス賃料は、調査地点の約半数が上昇しており、全国平均は4.0%上昇(前年3.4%上昇)と上昇幅が拡大し、6年連続の増加となった。三大都市圏を中心に3%を下回る低い空室率が続き、東京都区部以外では新規供給も限定的で需給がひっ迫するエリアが多く、これが賃料上昇の要因となっている。

 都市圏別では、全ての都市圏で上昇しており、「大阪圏」は昨年に引き続き大阪市の大幅な賃料の上昇の影響により10.7%上昇(前年10.9%上昇)と10%を超える上昇幅となっている。また、「名古屋圏」の上昇率が6.1%上昇(同2.8%上昇)と昨年から倍増した。「東京圏」は2.6%上昇(同2.0%上昇)。都市規模別でも全ての都市規模で上昇しており、「政令指定都市」では4.8%上昇(同4.1%上昇)と5%に迫る上昇率となっている。

 地方別では、昨年に引き続き、全ての地方で上昇となった。特に「近畿地方」は、昨年に引き続き大阪圏の高い上昇率の影響により、9.9%(前年10.1%)と10%に迫る上昇幅となっている。また、札幌市、名古屋市の賃料上昇率の拡大が影響し、「北海道地方」(7.4%上昇、前年3.3%上昇)、「中部・東海地方」(3.9%上昇、同1.7%上昇)の上昇率が昨年より2%を超える増加となっている。

 上昇地点数を今回の結果とファンドバブル期(2007年)と比較すると、上昇地点数は今回が上回っているが、5%以上の上昇地点数は2007年の20地点に対して今回は13地点と少なく、薄く広い範囲での賃料上昇となっている。また、下落地点数は7地点で全体の1割程度と過去最も少ない。主要地点のオフィス賃料は、全ての地点で上昇しており、5%上昇率の地点数は昨年の2地点から7地点へと大幅に増加した。

 なお、共同住宅賃料は、横ばいの地点が約8割と多く、全国平均は0.1%上昇(前年0.1%上昇)と前年同様ほぼ横ばいの状況が継続。地方別では、「関東地方」(0.3%)、「中国地方」(0.9%)で1.0%以下の小幅な上昇が継続し、それ以外の地方では0.1%の下落又は横ばい、また、都市圏別では、「東京圏」(0.3%)、「東京都区部」(0.2%)、「三大都市圏以外」(0.1%)で上昇したが、上昇率は小さく、ともに全体的にみればほぼ横ばいで推移した。

 同調査結果は↓http://www.reinet.or.jp/wp-content/uploads/2019/11/5baf5003a5f550f92675ddc71ab639dc.pdf