地ビール出荷量、「エチゴビール」が8年連続でトップ

 東京商工リサーチがこのほど発表した「地ビールメーカー動向調査」結果によると、全国主要地ビールメーカー70社の2019年1~8月の総出荷量は8966.8kℓ(前年同期比4.0%増)だった。2018年同期の出荷量は前年同期比1.0%増と微増だったが、2019年は根強い地ビールブームを背景に出荷量を伸ばした。一方で、ビール大手5社の2018年のビール系飲料課税済み総出荷量は14年連続で減少し、1992年以降で最低となっている。

 ビール大手各社が苦戦するなか、地ビールメーカーはイベントでの自社商品の販売を軸に、スーパーやコンビニに加え、ビアパブの新規開拓など地道な営業を展開。こうした地道な営業が奏功し、全国主要地ビールメーカー70社の総出荷量は前年同期を上回った。だが、全体の出荷量は伸びる一方、前年割れに陥った地ビールメーカーも出ている。ブームの恩恵はあるが、地ビールメーカー各社は生き残りをかけた差別化を求められている。

 2019年1~8月の出荷量ランキングは、地ビール醸造では全国第一号の「エチゴビール(株)」(新潟県)が8年連続でトップを守った。出荷量は2033kℓ(前年同期比3.8%増)と2位以下を大きく引き離した。2位は「常陸野ネストビール」の「木内酒造(資)」(茨城県)で、出荷量は1414kℓ(前年同期比0.7%減)。3位は「べアレン・クラッシック」の「(株)ベアレン醸造所」(岩手県)の391kℓ(同18.1%増)。

 2019年1~8月の出荷量が判明した70社のうち、「増加」は38社(構成比54.3%)と6割を割り込んだ。「減少」は29社で、「横ばい」は3社だった。増加の理由は、「飲食店、レストラン向けが好調」が13社と最も多く、次いで、「スーパー、コンビニ、酒店向けが好調」が7社だった。「その他」(13社)では、「ふるさと納税返礼品の増加、ネット販売増加」、「輸出が好調」など、積極的に新たな受注獲得を目指す動きがみられた。

 販売先では73社から回答を得た。最多は、「自社販売(イベント販売含む)」の28社(構成比38.4%)。次いで、「スーパー、コンビニ、酒店」の21社(同28.8%)、「飲食店、レストラン」の16社(同21.9%)と続く。直営レストラン・飲食店など自社販売に力を注ぐほか、地元の酒販店、コンビニエンスストアなどへの卸売にも力を入れている。今後、伸びが見込まれる販売先は、「飲食店、レストラン」が22社(構成比30.1%)で最多だった。

 同調査結果は↓

https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20191025_02.html