中小法人の法人税率の特例の延長と中小企業者の範囲

 中小法人の法人税率について、2019年3月31日までに開始する事業年度については、所得金額のうち年間800万円以下の部分に対する税率が19%(本則)から15%に軽減されているが、2019年度税制改正において、この特例の適用期限が2021年3月31日まで2年間延長される。一方で、法人税関係の中小企業者向けの各租税特別措置等におけるみなし大企業の範囲が見直される。

 租税特別措置に設けられている中小企業者向けの優遇措置の多くは、(1)期末資本金の額が1億円以下の法人、(2)資本又は出資を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1000人以下、の「中小企業者」に適用される。ただし、(1)では、発行済株式の総数の2分の1以上が同一の「大規模法人」に所有されている法人や、発行済株式の総数の3分の2以上が「大規模法人」に所有されている法人は除かれる。

 2019年度税制改正においては、みなし大企業の判定において、上記における「大規模法人」の範囲に、大法人の100%子会社、100%グループ内の複数の大法人に発行済株式の全部を保有する法人が加えられる。この「大法人」とは、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上である法人、相互会社若しくは外国相互会社(常時使用従業員数が1000人超のものに限る)、又は受託法人をいう。

 この改正により、例えば、資本金の額が5億円以上である法人の孫会社が中小企業者に該当しないことになる。また、上記のように、みなし大企業の判定において、「大規模法人」の範囲が拡大されるとともに、中小企業者の判定対象となる法人が自己株式又は出資を有している場合には、その自己株式又は出資を発行済株式又は出資の総数から除外して、中小企業者の該当性を判定することとされる。

 なお、中小法人の法人税率の特例の対象となる「中小法人」とは、(1)期末資本金の額が1億円以下の普通法人、(2)資本又は出資を有しない普通法人をいう。ただし、(1)の期末資本金の額が1億円以下の普通法人からは、大法人(資本金の額が5億円以上である法人等)による完全支配関係がある法人や、100%グループ内の複数の大法人に発行済株式の全部を所有されている法人は除かれる。