2019年度税制改正は平年度566億円の減収を見込む

 政府は21日、来年10月の消費税増税に伴う需要変動の平準化対応のための住宅と自動車の減税措置を柱とした2019年度の税制改正大綱を閣議決定した。来年召集予定の通常国会に税制改正法案を提出し、今年度中の成立を目指す。閣議決定された税制改正大綱によると、2019年度税制改正による増減収見込額は、平年度で国税が1040億円の減収、地方税が474億円の増収となり、差し引き566億円の減収を見込む。

 国税をみると、個人所得課税では「住宅ローン減税」が1000億円の減収、資産課税では「個人事業者の事業承継制度の創設」が10億円の減収、法人課税では「保険会社等の異常危険準備金制度の特例積立率の引上げ」が40億円の減収、「医療用機器の特別償却制度の見直し」が10億円の減収となるが、一方で「その他の租税特別措置の見直し」の20億円の増収があり、平年度では差し引き1040億円の減収となる見込みだ。

 地方税関係をみると、法人事業税での「特別法人事業税(仮称)の創設に伴う標準税率の見直し」が1兆8697億円の減収、車体課税での「自動車税種別割の標準税率の引下げ」が1324億円の減収、個人住民税での「住宅ローン減税の拡充」が141億円の減収などがあるが、一方で、車体課税での「自動車税環境性能割の税率等の適用区分の見直し」が248億円の増収などがあり、平年度では差し引き1兆9645億円の減収を見込む。

 地方税関係は、一方で、国が徴収した特定の税目の税収を一定の基準により地方団体に譲与する地方譲与税において、「特別法人事業譲与税(仮称)」が1兆8697億円、「自動車重量譲与税」が660億円、「地方揮発油譲与税」が142億円、「森林環境譲与税(仮称)」が620億円の合計2兆119億円の増収項目があり、上記の1兆9645億円の減収見込みを差し引くと、平年度は474億円の増収を見込む。

 なお、「森林環境譲与税(仮称)」については、その財源として森林環境税(仮称)(国税)を創設し、平年度620億円の増収を見込むが、課税開始は2024年度からとなる。この結果、2019年度税制改正に伴い、国税が1040億円の減収、地方税が474億円の増収となり、トータルでは平年度566億円の減収を見込んでいる。