法人が支出する情報提供料の取扱い、交際費に注意!

 法人が紹介者を通じて正社員を採用したり、取引に関する情報、取引の媒介、代理、斡旋等の提供を受け、紹介者に対して紹介料や販売手数料などの「情報提供料」を支払うことは、事業上よくあることだ。情報提供料は、法人の事業遂行上必要なものであれば、事務上も当然費用(損金)として認められるが、支出の内容によっては税務上の交際費と認定され、法人に税負担が生じる場合がある。

 例えば、知名度の低い中小企業では、人材確保のために、人材紹介会社を使ったり、知人に紹介してもらったりと、あらゆる手段を講じるだろうが、人材の紹介を受けたことに伴って謝礼を支払う場合には、税務上、注意が必要だ。人材紹介会社への謝礼は「情報提供料等」として問題なく損金算入できる一方、知り合いに対して謝礼を支払った場合には、「交際費」に該当し、損金算入の制限を受ける可能性がある。

 法人税法では、知り合いのように「情報提供等を行うことを業としていない者」に対して、その情報提供等の対価として金品を交付した場合であっても、その金品の交付について例えば次の3つの要件のすべてを満たしているなど、その金品の交付が正当な対価の支払であると認められるときは、その交付に要した費用は交際費に該当しないと規定している(租税特別措置法通達61の4(1)-8)。

 その要件とは、(1)その金品の交付があらかじめ締結された契約に基づくものであること、(2)提供を受ける役務の内容が当該契約において具体的に明らかにされており、かつ、これに基づいて実際に役務の提供を受けていること、(3)その交付した金品の価額がその提供を受けた役務の内容に照らし相当と認められること。したがって、契約がなかったり、金額が恣意的な場合等には、「交際費」に該当するとして損金算入が制限されることになる。

 なお、上記(1)の「契約」の形式については、必ずしも個々の取引ごとに契約書を作成する必要はない。例えば、取引条件を店舗の窓口に提示するとか、新聞などの媒体を通じて広告するといった方法により、非事業者からの情報提供や人材紹介、取引のあっ旋を募るものでも認められよう。また、情報提供料は、いわゆる所得税法上の外交員や商品販売における個人代理店等に支払うもの以外は源泉徴収の必要はない。