消費税増税で「景気は悪くなる」との企業が6割弱

 来年10月の消費税増税による景気への影響について、企業の予想は、「景気は悪くなる」(57.8%)が6割弱を占め、「景気は現状維持」が37.2%、「景気は良くなる」はわずか1.7%だったことが、東京商工リサーチが発表した「消費増税に関するアンケート調査」結果(有効回答数8298社)で分かった。規模別では、「景気は悪くなる」は大企業で52.4%、中小企業で58.9%と、いずれも半数を超えたが、中小企業ほど悲観的な声が多かった。

 消費税増税に備えた準備については、「準備していない」(59.8%)が6割を占め、「準備している」(28.1%)は3割弱にとどまった。規模別では、「準備していない」は大企業42.9%、中小企業63.3%と、大きな差がついた。中小企業は準備への資金負担が重く、また人手不足で、準備に積極的な取組みが遅れているようだ。レジの導入・システム改修等の支援や関心の高い助成金などの支援策を広く浸透させる告知を急ぐことが求められる。

 消費税増税に向けた具体的な準備(複数回答)は、最多は「会計・経理システム変更の見直し」で75.3%、次いで、「既存の商品・サービスの内容見直し」(22.9%)、「新たな取引先の開拓」(12.3%)と続く。規模別でみると、「会計・経理システム変更の見直し」は、大企業82.2%、中小企業72.8%と、約10ポイントの差がついた。一方、「既存の商品・サービスの内容見直し」や「新たな取引先の開拓」などは、中小企業が大企業を上回った。

 中小企業は消費税増税による業績落ち込みをカバーする姿勢がうかがえる。業種別では、小売業で「既存の商品・サービスの内容見直し」(36.9%)が3割を超え、他の業種に比べ多かった。「増税に係る新商品・サービスの開発」(13.3%)も1割を超えた。消費税増税で下振れが見込まれる消費者の需要喚起への動きもみられるほか、「資金の内部留保」(情報通信業)、「設備投資の前倒し」(運輸業)など、体質強化を目指す中小企業もあった。

 軽減税率導入の影響では、「影響はない」(55.9%)が半数を超えた。「マイナスの影響がある」は17.4%、「プラスの影響がある」はわずか4.2%。軽減税率による影響は、企業規模による差異があまりみられなかった。業種別では、「マイナスの影響がある」は小売業が26.3%と、他の業種より高かった。小売業は駆込み需要の反動や、軽減税率による内食・外食商品の区分けの煩雑さなど、他の業種より多くの課題を懸念しているようだ。

 今回の消費税増税分の商品・サービスへの価格転嫁については、最多は「増税分すべてを販売価格に転嫁する予定」(54.3%)が半数を占めた。「転嫁しない予定」は13.9%。大企業は「増税分すべてを販売価格に転嫁する予定」が49.3%だったのに対し、中小企業は55.3%と、中小企業が6ポイント上回った。大企業・中小企業とも、前回(2014年)の消費税増税の時より、「増税分すべてを販売価格に転嫁する」が増加している。

 同調査結果は↓
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20181024_03.html