食品企業の農業参入増加も関心企業は減少~日本公庫

 日本政策金融公庫が全国の食品関係企業(製造業、卸売業、小売業、飲食業)を対象に7月に実施した「食品産業動向調査」結果(有効回答数2498社)によると、農業参入への取組状況については、「既に参入している」とした企業は12.7%(前回調査比+3.3ポイント)と増加していることが分かった。「参入を計画・検討している」は4.8%、「参入に関心はあるが、検討していない」は24.9%だった。

 このように、農業への参入企業は増加しているが、「検討・計画」(前回調査比▲0.7ポイント)、「関心はあるが検討していない」(▲3.0ポイント)の農業参入に関心を示す回答が減少しており、食品企業の農業参入が進んだ一方で、新たに農業参入に関心をもつ層は増えていないことがうかがえる。農業参入の目的は、「原材料の安定的な確保」(69.1%)が最多、「本業商品の付加価値化・差別化」(51.4%)、「地域貢献」(43.3%)の順となった。

 「既に参入している」と回答した食品企業が、農業部門が黒字化するまでに要した期間は、「5年以内に黒字化」した企業は37.9%(「参入年から」14.7%、「3年以内に」14.3%、「5年以内に」8.9%)と4割を下回ることが分かった。アンケートからは、「作付から収穫まで年1回転であり作業の習熟に時間を要した」、「本業の安定的な稼働が目的であり、農業部門のみでの採算は意識していない」などの声も寄せられている。

 「既に参入」又は「参入を検討・計画」と回答した企業の農業参入にあたっての課題(複数回答)は、「人材の確保」が63.2%(前回調査比+27.0ポイント)と急伸し、最も大きな課題となっていることが分かった。以下、「採算性の判断」(50.5%)、「農地・事業地の確保」(39.2%)、「技術習得」(38.9%)と続き、農業参入にあたっては、農業の特性を理解している専門家によるサポートが求められているようだ。

 また、「既に参入」及び「参入を検討・計画」と回答した企業の農業参入の方法(複数回答)は、「自社・子会社が直接参入」との回答が最多の63.9%(前回調査比+10.1 ポイント)と増加。一方で、「農業法人への出資・業務提携」による農業参入は17.2%(同▲5.2 ポイント)と低下していることから、業務提携などの間接的な関与による農業参入は減少し、食品企業が自ら関与し農業経営を行う方法が増加していることがうかがえる。

 同調査結果は↓
https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/topics_181023a.pdf