経団連、消費税率10%への確実な引上げなどを要望

 経団連が発表した2019年度税制改正に関する提言では、来年10月の消費税率10%への確実な引上げを要望した。同時に、税率引上げ後の自動車や住宅に対する消費の落込みを抑える措置も要望。具体的には、自動車税を軽自動車税(1万800円)並みにする案やエコカー減税の延長、自動車重量税を当分の間廃止することのほか、住宅については、住宅ローン減税の延長、住宅リフォーム減税の創設、不動産取得税の特例の延長などを求めた。

 また、需要平準化の取組みを求め、「骨太の方針2018」では「需要に応じて事業者のそれぞれの判断によって価格の設定が自由に行われることで、駆込み需要・反動減が抑制されるようその方策について、具体的に検討する」とされたが、販売価格の設定という企業の最も基本的な経済活動を制約しないことを前提としつつ、中小企業等による適正転嫁や小売の既存実務に配慮した制度設計を行うべきであると主張している。

 さらに、消費税制度の改善として、(1)消費税の申告期限の延長、(2)消費税の仕入税額控除に係る95%ルールの復活、(3)福祉車両や損害保険など仕入税額控除ができない非課税取引への配慮を挙げた。(1)では、事業者の事務負担を軽減する観点から、消費税の申告期限について、法人税の申告期限とあわせるかたちで延長を検討すべき、(2)では、事業者の事務負担を軽減する観点から、95%ルールを復活させるべきとしている。

 そのほか、提言では、IoTやAI等の技術を取り入れた新たな経済社会「Society5.0(ソサエテイ5.0)」の実現に向け、研究開発税制の拡充や税務分野におけるデジタル・ガバメントのさらなる推進等が重要と指摘。研究開発税制については法人税額の控除上限を25%から30%へ引き上げるほか、期限切れを迎える控除率10%~14%の部分について延長・拡充することが必要であるとした。

 国際課税については、米国における税制改正により外国子会社合算税制において合算課税や事務負担が増大するおそれがあるとして、その見直しや、BEPS(税源浸食と利益移転)勧告の国内法制化、租税条約ネットワークの充実について慎重に検討すべきとした。経団連では、「経済界としても民主導のイノベーションを通じて経済の好循環に引き続き貢献していく」とし、提言は今後、与党税制調査会などに要望していくという。
 
 経団連の税制改正への提言は↓
http://www.keidanren.or.jp/policy/2018/073_honbun.pdf