中企庁、下請代金法に基づき親会社958社に立入検査

 中小企業庁は、親事業者への立入検査などにより下請代金支払遅延等防止法(下請代金法)を厳正に運用し、違反行為に対して厳正に対処しているが、27日、2017年度の下請代金法に基づく取締状況、「下請かけこみ寺」事業等の実施状況について取りまとめ、公表した。それによると、2017年度は、中企庁として親事業者・下請事業者合わせて約25万社(2016年度約30万社)に対し書面調査を実施した。

 この調査の結果、違反のおそれがある親事業者958社(2016年度1006社)に対し、立入検査等を実施し、そのうち867社(同900社)に対して書面により改善指導を行った。また、違反の内容としては、実体規定関係の禁止行為の違反として「支払代金の支払遅延」(314件)が最も多く、全体(689件)の45.6%を占め、次いで「下請代金の減額」(247件、構成比35.8%)が続き、両者で約81%を占めた。

 一方、各都道府県合計48ヵ所に設置した「下請かけこみ寺」においては、下請取引等に関する様々な相談に対して親身な相談対応を行っているが、2017年度の相談実績は6838件(2016年度6583件)となっている。その内容は「下請代金法」に関する相談件数が997件(同812件)、「建設業関係」に関する相談件数が1560件(同1395件)、法令に関する質問など「その他」が4281件(同4376件)となっている。

 下請取引の適正化に向けては、取引条件の改善、最低賃金の引上げなど、中小企業・小規模事業者を取り巻く諸課題に対応するため、2017年9月に「中小企業・小規模事業者の活力向上のための関係省庁連絡会議」を内閣官房副長官の下に設置して、省庁横断的に必要な検討を行っている。また、親事業者と下請事業者双方の「適正取引」や「付加価値向上」、サプライチェーン全体にわたる取引環境の改善を目的として、様々な取組を実施した。

 その一つに、全国に80名規模の取引調査員(下請Gメン)を配置し、2017年度は全国の下請中小企業を訪問して、2727件のヒアリングを実施した。ヒアリングで聞き取った内容については、秘密保持を前提として必要に応じ、個社又は業界団体にフィードバック等を行うなど改善につなげるとともに、下請法違反の疑いがある場合には検査に移行するなど、適正取引に向けた取組みを強く促していくという。

 この件の詳細は↓
http://www.meti.go.jp/press/2018/08/20180827005/20180827005-1.pdf