KSKシステムの行政事業レビュー結果を公表

 財務省はこのほど、本年6月4日に行われた国税総合管理(KSK)システムの行政事業レビュー(公開プロセス)結果を公表した。2018年度の対象事業として取り上げられたKSKシステムは、全国の国税局と税務署をネットワークで結び、申告・納税の事績や各種の情報を入力して国税債権などを一元的に管理、これらを分析して税務調査や滞納整理等に活用するなど、税務行政の根幹となる各種事務処理の高度化、効率化を図るシステム。

 行政事業レビューは、各府省が自ら所管事業の執行状況を公表するとともに、外部有識者による客観的な事業の点検を受け、その結果を概算要求や執行の改善に反映させることを目的とする。KSKシステム事業の点検での論点は、「次期システム更改に向け、専門的な第三者の意見を聞くなど、一者応札の改善も含めた適切な検討が行われているのか」、「2021年度を目途とする運用コストの3割圧縮に向けて運用コストの削減に努めているか」の2つ。

 執行状況をみると、前回(2013年)の公開プロセスの結果を踏まえ、一者応札の改善に向けては、2015年度のホスト機器の調達で調達区分の細分化、入札公告期間の延長等をした結果、ネットワーク機器の調達で複数応札が実現したとしている。ただし、一者応札の改善の問題点として、当局では、他社がつくったプログラムを改修しろと言われても、非常に怖いという各ベンダーの意見を挙げている。

 一方、運用コストの削減については、2021年1月 に予定している機器更改に対して、センター設置サーバ台数の削減、拠点用サーバのセンターへの集約等の方針を策定し、さらなる削減を図る。KSKの開発関係経費は、例えば2018年度の場合、全体が大体345億円ほど計上され、そのうちの50億円ほどがプログラム開発関係の費用、290億円強がランニングコスト、そのうちさらに240億円ほどが電子計算機等の借料という構成になっている。

 外部有識者による点検結果によると、「一者応札の契約が多く、財務省もベンダーロックイン(特定ベンダーの独自仕様のシステムが採用されるとベンダーが固定されやすくなること)やシステム規模などが業者の参加を妨げる要因となっていると認識しているが、それに対する有効な対策が検討されているか疑問」、「運用コストの削減については、開発費との合計額の観点からも削減ができるように、検討を進めるべき」などのコメントがあった。

 この件は↓
https://www.mof.go.jp/about_mof/mof_budget/review/2018kopuro.html