農地の相続税納税猶予の営農困難時貸付けで告示改正

 農地の相続税納税猶予の営農困難時貸付けで、納税猶予の要件となる“農業に従事することを不可能にさせる故障”を定めた告示が改正される。視覚障害の基準を見直すもので、農水省では、告示(租税特別措置法施行令の規定に基づき、農業に従事することを不可能にさせる故障を定める件)の一部改正案をパブコメとし7月17日まで意見を募集したうえ、本年8月上旬に公布・施行する予定。

 贈与税及び相続税の納税猶予の適用を受ける農地等については、農業経営基盤強化促進法等に基づく事業以外による貸付けを行った場合、原則、納税猶予の期限が確定することとされている。しかしながら、例外的に納税猶予適用者が政令で定める精神障害又は身体障害等により営農が困難となり、貸付けを行った場合には、納税猶予が打ち切られないこととされている、いわゆる営農困難時貸付制度が手当されている。

 この営農困難時貸付制度の対象となる状態の一つとして、政令において農業に従事することを不可能にさせる故障として農林水産大臣が財務大臣と協議して定めるものを有するに至ったことにつき、市町村長の認定を受けていることが規定されており、これを受けて、租税特別措置法施行令の規定に基づき、農業に従事することを不可能にさせる故障を定める件が定められている。

 告示で定める基準については、基本的には既に農業に従事することが不可能な場合に市町村が生産緑地を買い取る基準を定めた生産緑地法施行規則第5条の規定を参考としているが、生産緑地法施行規則は、「に準ずる障害」等の文言を使用するなど、その内容が必ずしも明確ではないため、基準をより具体的に示すために身体障害者福祉法に基づく身体障害者手帳、障害基礎(厚生)年金及び労働者災害補償保険制度の障害等級を参考に規定している。

 今回の改正の内容は、身体障害者福祉法施行規則の一部を改正する省令の施行に伴い、身体障害者手帳3級の視野の基準が改正されることから、これに合わせて視野の基準を改正する。つまり、告示の改正は、身体障害者手帳の視野の基準が改正され、視覚障害のうち、視野について現行基準で使われている視能率、損失率という用語を廃止し、視野角度と視認点数を用いて認定する等の見直しをすることからこれに合わせるもの。