立川 正三郎
(たちかわ・しょうざぶろう)
A4版 352ページ
定価 2200円(税込) → 1980円(10%引・税込)
企画・編集 株式会社タックス・コム
>発行元 法令出版株式会社
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租税法とりわけ法人税は難解であると言われています。しかし、法人税法は基本的な課税原理に基づき極めて論理的に構築されています。
そこで、本書では、その法人税法の基本的な考え方、仕組みについて立法趣旨をできる限り詳しく述べることによって、法人税法を理解しやすく興味を持てるように説明しました。また、基本的な規定の説明にあたっては、理解に役立つ図表を添えました。
本書が、法人税法を勉強する大学、大学院の学生の皆さん、さらには、実務に従事する経理担当者、税理士の皆さんにとって一助となれば幸甚に存じます。
平成23年1月25日に提出された平成23年度税制改正法案すなわち「所得税法等の一部を改正する法律案」は、国会上程後に東日本大震災が生じ審議が中断されました。そのため、平成23年6月10日に、2法律案に分割され、緊急な部分を「現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」として新たに国会に再提出され、平成23年6月22日に成立し、6月30日に施行されました。残余の部分は「経済社会の構造変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案」として前提出法案の修正案として継続審議となっています。前者は主に期限切れ租税特別措置の延長、緊急を要する課税の適正化、等を内容としています。後者はその後の状況を見つつ成立をめざすこととなっています。
後者も、現在の我が国の経済社会に必要な改正ではありますが、現在の厳しい国会の審議状況においてやむを得ず分割されました。その内容は、今後の法人税法のあるべき姿を示しており、法人税法の理解には不可欠です。
そのため、本書では、前者は「平成23年度税制改正」と表示し、後者は未だ成立していませんが、今後の方向を示すものとして「平成23年度税制改正案」と表示の上説明しています。したがって本書を参考に実務処理するにあたっては、本書出版後の国会の審議結果を確認の上適用するようお願いします(本書で「平成23年度税制改正案」として説明した部分の適用にあたっては、事前に法律として成立したかどうかをチェックして下さい)。また、その際には本書では取り扱えなかった経過措置、施行日にも十分にご留意下さい。
分割された両法案における法人税法にかかる部分の主な内容を次に示します。
現下の厳しい経済状況及び雇用情勢に対応して税制の整備を図るための所得税法等の一部を改正する法律案
1 期限切れ租税特別措置の延長等
① 期限切れ租税特別措置の適用期限の延長
・中小法人に対する税率延長(本則22%→特例18%)
・試験研究費の特別税額控除
・エネルギー需給構造改革推進設備等の特別償却、特別税額控除
・事業基盤強化設備等の特別償却、特別税額控除
・中小法人に対する貸倒引当金の特例
・中小法人の交際費の定額控除限度額
・退職年金等積立金に対する課税の停止措置 等
② 新制度の創設
・エネルギー環境負荷低減推進設備等の特別償却、特別税額控除
・国際戦略総合特別区の特別償却、特別税額控除
・雇用者数増加の場合の特別税額控除
・特定高度通信設備の特別償却 等
2 政策税制の拡充・納税者利便の向上・課税の適正化
① 完全支配がある法人間の取引
・完全支配関係のある他の内国法人で一定のものの株式等の評価損は計上しない(法33)
・会社更生等による債務免除等があった場合の欠損金の損金算入にあたっては、連結欠損金額のうち一定額をないものとする(法81の9)
・外国法人が内国法人に対して国外にある資産等の移転を行う現物出資は適格現物出資としない(法2①十二の十四)
・複数の完全支配関係がある大法人に株式の全部を保有されている法人は、軽減税率を適用しないとともに、特定同族会社の特別税率を適用対象とする(法66、67、143)
② 棚卸資産の評価方法の見直し(法29)
③ 仮決算による中間申告の見直し(法72、81の20)
④ 還付加算全の計算期間の見直し(法133、134)
⑤ 故意の申告書不提出によるほ脱犯の創設(法159)
⑥ 国外間達者取引に係る独立企業間価格の見直し
⑦ 特定外国子会社制度の見直し 等
経済社会の構造変化に対応した税制の構築を図るための所得税法等の一部を改正する法律案
1 税制抜本改革の一環をなす改正
① 実効税率の5%引下げ
② 課税ベースの拡大
・減価償却の見直し
・矢損金繰越控除の見直し
・貸倒引当金制度の見直し(適用対象法人の制限)
・当初申告要件の見直し、控除額等の制限の見直し 等
2 納税者権利憲章の策定等国税通則法の抜本改正
① 納税者権利憲章の策定
② 更正の請求期間の延長 等
なお、法律は、平成23年1月25日国会提出の所得税法等の一部を改正する法律案によりましたが、施行令、施行規則は、平成22年度税制によりました。
国税庁入庁後、名古屋局調査査察部次長、仙台局調査査察部部長、熊本局課税部長、東京局徴収部長、関信局総務部長、庁事務管理課長、等を歴任。
平成15年庁徴収部長を退官。
(財)日本租税研究協会専務理事。
平成17年日本大学経済学部教授、明治大学法科大学院講師、税理士。
(旧国家公務員上級職採用試験合格、旧公認会計士第二次試験合格)
※本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです。
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