岸田自民党総裁の後任を選ぶ総裁選挙が9月12日に告示された。20人の推薦人が必要である現在の仕組みで過去最多の9人が立候補しており、政治改革や経済政策などが主な争点になるといわれている。物価上昇に加え、慢性的な人手不足など、企業を取り巻く環境は厳しさが増しているなか、新たな政権がどのような経済政策を今後推し進めていくのか、注目される。
帝国データバンクが発表した「企業が新政権に求める経済関連政策についてアンケート調査」結果(有効回答数1966社)によると、新政権に求める経済関連政策(複数回答)は、「中小企業向け支援策の拡充」が 47.2%でトップ。次いで、「物価高対策」が 43.8%で続き、「個人消費の拡大策」(43.6%)、所得税や消費税などを含む「個人向け減税」(41.2%)といった、個人消費を促す政策が4割台で並んだ。
また、「人手不足への対応」(36.4%)、法人税などを含む「法人向け減税」(32.5%)、「年金問題の解決」(31.4%)が必要と考えている企業の割合は3割台で続いたが、「財政健全化」(29.7%)および「原発の再稼働」(28.8%)の割合は3割を下回った。規模別に比較すると、「中小企業」では、「中小企業向け支援策の拡充」および「法人向け減税」が「大企業」よりも 10 ポイント以上高い結果となった。
他方、「大企業」では、「人手不足への対応」や人材育成、働き方改革などの「雇用対策」といった、人材確保・定着に関連する政策を求める企業の割合が「中小企業」を5ポイント以上上回った。特に「賃上げ促進」は約 15 ポイント高くなっていた。業界別に、全体より 10 ポイント以上高かった経済政策の項目をみると、『建設』では2024年問題による影響を反映して「人手不足への対応」がトップとなり、全体より高く表れた。
『製造』および『運輸・倉庫』では「価格転嫁対策」が目立ち、『小売』では「個人消費の拡大策」が最も高い項目となっている。以上、規模別にみると、「大企業」では人材確保・定着に関連する政策が目立つ一方で、「中小企業」では中小企業への支援や法人向け減税を求める企業が多く表れる結果となった。業界別では、2024年問題に直面している『建設』で「人手不足への対応」を求めている様子がうかがえた。
こうした経済状況の下で、十分な価格転嫁ができない企業が依然として多いほか、消費マインドの冷え込みなど、厳しい経営環境が続くと考えられる。また、人手不足や2024年問題など構造的な課題も抱えており、多岐にわたる経済関連政策の実施が必要とされている。新政権には、有効な対策を早急に講じ、力強い景気の好循環が生まれる環境を整備することが求められる。
同調査結果は