中小の約6割が「外部シニア人材の受入れに前向き」

 日本商工会議所が、中小企業を対象に実施した「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」結果(有効回答数2392社)によると、人手が「不足している」との回答が6割超(63.0%)で、昨年同時期調査から5ポイント低下も、依然として厳しい人手不足の状況が続く。うち6割超(65.5%)が、事業運営への影響について、「非常に深刻(廃業のおそれ)」(4.2%)、「深刻(事業継続に支障が出るおそれ)」(61.3%)と回答した。

 人手が「不足している」との回答は、「運輸業」(83.3%)、「建設業」(79.2%)で約8割に達し、とりわけ厳しい状況にあり、「2024年問題」の影響がうかがえる。人手不足への対策(複数回答)は、「採用活動の強化(非正規含む)」(78.4%)が最多。「採用活動」以外の対策としての、事業のスリム化、能力開発、デジタル活用など生産性向上や、女性・シニア・外国人材など多様な人材の活躍推進の取組みは、いずれも約3~4割にとどまる。

 従業員に占めるシニア人材(60歳以上)の割合が「3割以上」と回答した企業は、全体の2割超(25.2%)。20人以下の企業では3割を超える(32.8%)。従業員に占めるシニア人材(60歳以上)の割合が「3割以上」と回答した企業の割合は、人手不足が深刻な「運輸業」(42.6%)、「宿泊・飲食業」(37.2%)で約4割と他業種に比べ高い。「運輸業」では、シニア人材が「5割以上」とする企業(20.4%)が約2割、「0割」が0.9%だった。

 シニア人材の活躍推進のため、定年の設定年齢について、法定下限(60歳)を超える定年の措置(61歳以上、定年はない)を講じている企業が半数超(52.2%)。20人以下の企業では7割を超える(72.5%)。業種別では、人手不足が深刻な「介護・看護業」(72.2%)、「宿泊・飲食業」(70.9%)で7割を超える。「定年はない」とする企業の割合も、「宿泊・飲食業」(38.3%)、「介護・看護業」(27.8%)で約3~4割と他業種に比べ高い。

 法律上の義務(65歳まで)を超える継続雇用の措置を講じている企業が6割超(63.2%)。「上限はない」とする企業は3割超(32.0%)。20人以下の企業では4割近く(38.1%)に達する。業種別では、人手不足が深刻な「建設業」(79.1%)、「介護・看護業」(76.9%)で8割近くに達する。「上限はない」は、「建設業」(37.2%)で最も高く、介護・看護業、その他サービス業、宿泊・飲食業、製造業など幅広い業種で3割を超える。

 なお、回答企業の約4社に1社(25.5%)が外部シニア人材を既に「受け入れている」と回答。「適当な人材がいれば受け入れたい」(35.2%)と合わせれば、約6割(60.7%)が受入れに前向きだ。20人以下の企業では、「受け入れている」は15.0%と低いが、「適当な人材がいれば受け入れたい」は4割近く(37.0%)とニーズは高い。より規模の小さい企業を対象とした、シニア人材とのマッチング機会創出など支援のさらなる拡充が求められる。

 同調査結果は

https://www.jcci.or.jp/file/sangyo2/202409/20240905_diversity_release.pdf