最低賃金改定に伴い「給与を見直す」企業は4割

 厚生労働省の中央最低賃金審議会は7月25日、答申を取りまとめ、2024年度の地域別最低賃金額改定の目安額をすべての都道府県で前年度から50円の引上げとすることを示した。全国加重平均では1054円となる。現在、目安通りの引上げとなった場合の最低賃金より低い時給での雇用は、企業の19.2%ある。約2割の企業が10月以降、給与引上げなどの対応を迫られることになる。

 東京商工リサーチが発表した「最低賃金引上げに関するアンケート調査」結果(有効回答数5506社)によると、目安通りの引上げとなった場合の給与設定の変更の有無は、最多は、「引上げ後の最低賃金額より低い時給での雇用はなく、給与は変更しない」の59.6%で、約6割の企業が給与を変更しないと回答した。一方、「引上げ後の最低賃金より低い時給での雇用はないが、給与を引き上げる」は21.1%だった。

 さらに、「現在の時給は引上げ後の最低賃金額を下回っており、最低賃金額と同額まで給与を引き上げる」が11.7%、「現在の時給は引上げ後の最低賃金を下回っており、最低賃金額を超える水準まで給与を引き上げる」が7.5%となり、合計40.3%の企業は最低賃金の上昇に伴い、何らかの形で給与を引き上げると回答した。現在、引上げ後の最低賃金より低い時給での雇用がある企業は19.2%で、10月以降、賃上げ対応が必須となっている。

 今年度の最低賃金を基準に、来年度許容できる最低賃金の引上げ額は、10円刻みのレンジでは、最多は「50円以上60円未満」の33.1%。今年度の引上げ額の目安である50円と同程度の賃上げであれば、来年度も持続できると考えている企業が多いとみられる。来年度も「50円以上」の最低賃金の上昇を許容できる企業の合計は64.6%だった。来年度の許容できる最低賃金の上昇額の中央値は、すべての企業規模で「50円」だった。

 最低賃金の上昇への対策(複数回答)については、最多は「商品やサービスの価格に転嫁する」の48.5%。以下、「設備投資を実施して生産性を向上させる」の26.7%、「雇用人数を抑制する」の16.7%、「従業員の雇用形態を変更する」の14.6%と続く。「できる対策はない」は18.3%だった。規模別では、「設備投資を実施」は大企業36.2%、中小企業25.7%で、大企業が10.5ポイント上回った。

 同調査結果は

https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198859_1527.html