10社に1社が「猛暑」をきっかけに売上アップ

 帝国データバンクが発表した「猛暑に関する企業の動向調査」結果(有効回答数1572社)によると、自社の商品・サービスで2024 年の猛暑をきっかけに売上が伸びたものの有無は、「ある」が11.4%で、「ない」が80.5%となった。業界別に売上が伸びた商品・サービスが「ある」企業割合をみると、『小売』が30.5%でトップとなり、全体(11.4%)を19.1ポイント上回った。次いで『卸売』(20.1%、全体比+8.7ポイント)が続いた。

 売上が伸びた具体的な商品・サービスは、「エアコン」販売や「空調設備工事」などを含む『エアコン・空調関連』が最も多く挙がっていた。「清涼飲料水」や「アイスクリームの包装資材」などの『食品関連』も、その原料や包装資材から最終製品、さらにスーパーなどで使用される「氷購入専用コイン」まで幅広い商品で売上を伸ばした。また、「空調服」や「タオル」、「夏物衣料」などの『衣類関連』や『熱中症対策関連』商品も好調だった。

 加えて、エアコンなどの使用時間・頻度の増加による電気代の上昇や電力需給のひっ迫を受け、「太陽光発電」や「蓄電池」など『省エネ・再エネ関連』が好調な様子もうかがえた。ほかにも猛暑で車移動が増え、カーエアコン使用時間・頻度の増加による「カーエアコン修理」収入や、燃費の悪化による「ガソリン」売上の増加も挙げられた。夏休みを迎え、「プール殺菌消毒剤」など『レジャー・宿泊関連』が好調なケースがみられた。

 今年の猛暑を受けて、自社で行っている対策(検討含む)(複数回答)は、「健康状態の把握」(47.9%)が5割近くでトップ。次いで「水分・塩分補給品や冷却商品の支給」(46.1%)、「クールビズの実践(制服や作業服の変更などを含む)」(44.0%)、「扇風機やサーキュレーターの活用」(43.3%)、「熱中症予防、応急処置の学習」(39.0%)が続き、従業員の健康管理と暑さ対策グッズの支給やクールビズの実践、設備・備品の充実が上位に並んだ。

 一方で、「休憩時間の追加・延長」(12.3%)や「臨時的な休暇の設定」(4.3%)など稼働時間関連のほか、「時差出勤やフレックスタイム制の導入」(4.7%)および「リモートワークの強化」(3.7%)といった柔軟な働き方の推進を行っている企業の割合は低水準だった。総じて何らかの対策を行っている企業は89.7%と約9割にのぼった。

 同調査結果は

https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p240809.pdf