消費税の仕入税額の還付が受けられない免税事業者

 消費税の還付を受けることができる者は、課税事業者または課税事業者となることを選択した事業者に限られるから、免税事業者は仕入代金に含まれている消費税および地方消費税(以下、消費税等)の還付を受けることはできないことになる。還付を受けることができる場合とは、仕入代金の額に含まれている消費税等の額に、売上に対する消費税等の額から控除しきれない部分があるときだ。

 つまり、商品を仕入れたり、サービスの提供を受けたりして支払った対価には、消費税等が含まれているが、この仕入代金の額に含まれている消費税等の額は、売上に対する消費税等の額から控除することができる。この場合、控除しきれない部分があるときは、確定申告により還付される。仕入代金に含まれている消費税等の控除しきれない部分の還付を受けるための申告書を提出できるのは、下記のような者となる。

 それは、(1)前々年(基準期間)の課税売上高が1000万円を超える個人事業者(課税事業者)、(2)前々事業年度(基準期間)の課税売上高(前々事業年度が1年未満の場合は、その事業年度開始の日の2年前の日の前日から同日以後1年を経過するまでの間に開始した各事業年度を合わせた期間の課税売上高の合計額をその各事業年度の合計月数で割った額に12を掛けて計算した金額)が1000万円を超える法人(課税事業者)。

 さらに、(3)課税事業者となることを選択した者、(4)適格請求書発行事業者(課税事業者)の登録を受けている者、(5)基準期間がない法人のうち、その事業年度の開始の日における資本金の額または出資の金額が1000万円以上の法人が対象となる。このように、還付を受けることができる者は、課税事業者や課税事業者となることを選択した事業者に限られるから、免税事業者は仕入代金に含まれている消費税等の還付を受けることはできない。

 なお、上記(1)に関しては、その課税期間の基準期間における課税売上高が1000万円以下であっても特定期間における課税売上高が1000万円を超えた場合、当課税期間から課税事業者となる。特定期間とは、個人事業者の場合は、その年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は、原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6ヵ月の期間をいう。